圧倒的なボール支配で、75分まで0-0で行けば…。
3)吉武監督の戦略(采配)はどうだったのか?
立ち上げ時から、吉武監督がやっていることはまったくぶれていなかった。今回の98ジャパンでも、これまでの94、96でやってきたことの質を上げ、全員で共有するという絵は描けていた。この大会で組織としてのパス回し、技術は間違いなくナンバーワンだった。
オーストラリアの監督も「日本のポゼッションは素晴らしかった。あの質の高さは見習わないといけない」と絶賛していた。ただし、結果は伴わなかった。質は高くなったものの、各チームが「研究しやすくなった」のも事実だ。
現に韓国とオーストラリアは闇雲にボールに食いつかず、『回させている』時間を多く作り出した。「まだまだ回されている時間が多い」と、吉武監督も理解していたが、そこを打開する切り札や積極性に欠けたように見えた。
4)勝敗の明暗を分けたものとは?
これまでも述べてきたように、ポゼッションは他を寄せ付けないクオリティーの高さがあった。初戦の香港や2戦目の中国は、日本に対して、べた引きの状態だった。攻撃も後方からのロングボールを多用。前線には迫力もなく、日本は相手を完璧に封じ込め、ほぼ何もさせずに無失点勝利を掴んだ。
香港、中国戦と同様、オーストラリア、韓国に対しても、日本はポゼッションで圧倒した。とりわけ韓国戦の35分までは、今大会で一番の出来というくらいの内容だった。前線から素早く相手を囲い込むアグレッシブな守備、ハーフウェーラインぎりぎりまで押し上げる強気のラインコントロール。中盤をコンパクトに保って、パス回しで韓国にボールを触らせなかった。
「75分まで0-0で行けたら」と吉武監督が言ったように、強力な個を持つ相手を圧倒的なボール支配で終盤まで完璧に抑え込んでいれば、韓国戦でもオーストラリア戦でも結果は出ていたのかもしれない。しかし、現実に選手たちはそのタスクを全うできなかった。自分たちのペースに引きずり込めていたにもかかわらず、一瞬の隙を突かれ相手のストロングポイントに屈してしまったのがすべてだった。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
立ち上げ時から、吉武監督がやっていることはまったくぶれていなかった。今回の98ジャパンでも、これまでの94、96でやってきたことの質を上げ、全員で共有するという絵は描けていた。この大会で組織としてのパス回し、技術は間違いなくナンバーワンだった。
オーストラリアの監督も「日本のポゼッションは素晴らしかった。あの質の高さは見習わないといけない」と絶賛していた。ただし、結果は伴わなかった。質は高くなったものの、各チームが「研究しやすくなった」のも事実だ。
現に韓国とオーストラリアは闇雲にボールに食いつかず、『回させている』時間を多く作り出した。「まだまだ回されている時間が多い」と、吉武監督も理解していたが、そこを打開する切り札や積極性に欠けたように見えた。
4)勝敗の明暗を分けたものとは?
これまでも述べてきたように、ポゼッションは他を寄せ付けないクオリティーの高さがあった。初戦の香港や2戦目の中国は、日本に対して、べた引きの状態だった。攻撃も後方からのロングボールを多用。前線には迫力もなく、日本は相手を完璧に封じ込め、ほぼ何もさせずに無失点勝利を掴んだ。
香港、中国戦と同様、オーストラリア、韓国に対しても、日本はポゼッションで圧倒した。とりわけ韓国戦の35分までは、今大会で一番の出来というくらいの内容だった。前線から素早く相手を囲い込むアグレッシブな守備、ハーフウェーラインぎりぎりまで押し上げる強気のラインコントロール。中盤をコンパクトに保って、パス回しで韓国にボールを触らせなかった。
「75分まで0-0で行けたら」と吉武監督が言ったように、強力な個を持つ相手を圧倒的なボール支配で終盤まで完璧に抑え込んでいれば、韓国戦でもオーストラリア戦でも結果は出ていたのかもしれない。しかし、現実に選手たちはそのタスクを全うできなかった。自分たちのペースに引きずり込めていたにもかかわらず、一瞬の隙を突かれ相手のストロングポイントに屈してしまったのがすべてだった。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)