脇役から主役へ! 香川真司の「ドルトムント第2章」が軽やかに幕を開ける

カテゴリ:ワールド

田嶋コウスケ

2014年09月14日

連動性の高いサッカーは、ぴったりフィットする。

コンパクトで連動性が高いドルトムントのサッカーは、香川のプレースタイルにやはりフィットする。クロップ監督の下で、本来の輝きを取り戻せるのではないか。 (C) Getty Images

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 この試合でとくに目についたのが、チームメイトから香川に渡る縦パスだ。バイタルエリアに入れば、ボールが自然と足下に集まる。サイドのスペースに流れても、走り込むちょうどそこにパスが出てくる。マンチェスター・Uでは、待てど暮らせど出てこなかった縦パスが、ドルトムントでは面白いように集まるのだ。
 
 敵2ライン(DFとMF)間のギャップでパスを受け、そこから前を向いてドリブルやワンツーで崩す香川の持ち味は、ドルトムントでならいっそうの輝きを放つ──。それを改めて実感させられた。
 
 思い返せば、筆者がマンチェスターで取材した過去2シーズン、本拠地オールド・トラフォードに香川を称えるチャントが響き渡ったことはなかった。スタジアム全体を震わすような大合唱がなかったのだ。
 
 サポーターに愛されていなかったわけではない。すべてのサポーターを狂喜乱舞させるほどのパフォーマンスを、マンチェスターでは継続して見せられなかったのである。プレースタイルの問題もあり、分厚い選手層を誇る個性派集団のなかで、香川はあくまで「One of Them」(大勢のうちの1人)でしかなった。
 
 翻って、ドルトムントでは真の主役だ。
「プレースタイルが自分に合っている」
「全員がコンパクトに保ちながら攻守両方で戦えている。常に2、3人が絡んで連動してサッカーができているので、自分も楽しい」
 と本人が嬉々として話すように、連動性の高いドルトムントのサッカーは香川のプレースタイルにぴったり合致する。
 
 サポーターから香川を称えるチャントが何度も起こり、「すでに大きな影響力を示している」と絶賛する指揮官からも信頼され、寵愛されている。脊髄の故障で療養中のイルカイ・ギュンドアンが、香川を祝福しようと取材エリアまで追いかけ、ハグをしたそのシーンからも、チームメイトに愛されていることが伝わってきた。
 
 記者団に「足を攣ったが、次のアーセナル戦(9月16日のチャンピオンズ・リーグ初戦)の出場は?」と聞かれると、「怪我ではないです。もちろん、次の試合のために練習していきます」。
 
「1試合目が終わってホッとした」というドルトムントでの第2章が、軽やかに幕を開けた。
 
取材・文:田嶋康輔
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