【日本代表 コラム】船出の2連戦で何が見えた? アギーレ率いる新生JAPANの未来とは――

カテゴリ:日本代表

加部 究

2014年09月10日

今後はポジション適性やシステムの再考を迫られていく可能性も。

柴崎とともに日本代表に新しい風を吹き込んだ武藤。アジアカップに向けて、今後はこうした新戦力と常連組の融合が必要になる。 (C) SOCCER DIGEST

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 アギーレ監督は、スペイン時代のオサスナ、エスパニョール、あるいはメキシコ代表にしても「弱者の論理」でチーム作りを進めてきた。基本的に同監督の歴史は、積極的に勝点を奪いに行くより、堅実に拾い集める作業が中心で、今後も「堅守の部分を強化していきたい」と語る。
 
 ただし今回の連戦では、負けないことに軸足を置いた結果、逆に大半がミス絡みで4失点した。フィリップ・トルシエからアルベルト・ザッケローニまでが指摘してきたように、日本には守備から逆算する文化は馴染まない。やはりゲームを支配することで、守備に回る時間を減らしていく。それは継続していくべきテーマであることを、早晩アギーレ監督も悟ると考えたい。
 
 選抜チームだから資質から人材を募ったが、逆に代表では条件を満たす素材を熟成させていく時間は確保できない。結局ウルグアイ戦では大胆な代謝を図ったものの、指揮官自らが「日本の特徴」だと認めるスピーディーな展開は実現できなかった。4-3-3で日本らしさを追求するなら、2枚の攻撃的MFが生命線になるはずだが、このポジションでプレーをしたのが、本来FWの田中順也とボランチの細貝。2戦目で柴崎岳が特に攻撃面で鮮度を加えたことで、指揮官は再考を迫られたはずだ。
 
 今後チーム作りのカギを握るのは、香川真司をどこで使うかだろう。もし2列目ではなくサイドアタッカーに回せば、マンチェスター・ユナイテッドやザック体制の二の舞になる。一方で長身CFの適材発掘が難航し、重要な得点源となる岡崎慎司の起用法なども考えれば、4-4-2など別のフォーメーションへと傾いていく可能性もある。
 
 いずれにしても2列目は日本の宝庫なので、武藤嘉紀が鮮烈なアピールをしたウイングは、故障中の原口元気も加えてポジション争いは激化しそうだ。またサイドアタッカーの台頭が顕著なら、所属のミランと同じく右サイドで使われている本田圭佑のポジションも、再考の必要が出てくる可能性もある。
 
 4年後のロシア・ワールドカップを目的地とする航海に出た新体制だが、まずは年内の残り4試合でアジアカップを勝ち抜くメドを立てなければならない。柴崎、武藤と新しい収穫を得た新チームも、とりあえずは代謝を一時停止し、常連組の組み替えや融合を優先する必要がある。
 
 本格的にアギーレ色が強まるのは、アジアカップ後と考えるべきかもしれない。

文:加部 究(スポーツライター)
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