カタール戦は日本代表で初めて、海外のクラブに所属している選手だけでスタメンが組まれたということだった。もちろん、多くの選手が実力を評価されて海を渡っていることを考えれば、一面では喜ばしいことなのかもしれない。

　でも、別の面を見れば、すべての選手がシーズンを通して定位置を獲得し、フルで戦っているわけじゃないだろう。実際、ボランチの柴崎などは所属チームで厳しい状況にあるようだし、そういう意味でも海外の選手ばかりで90分のゲームを連戦でこなしていくのは、厳しかったんじゃないかな。今後のコパ・アメリカやワールドカップ予選などを考えた時には、そうしたコンディション面も考慮に入れたメンバーを編成していくべきだと思う。

　今大会を振り返ると、森保ジャパンが発足した昨秋から引き続き、やはり若い選手の台頭が目立っていた。とりわけ、その存在が際立ったのは冨安だろう。吉田とともにディフェンスラインを引き締め、中東のスピードとパワーのある相手とも渡り合い貴重な経験を積んだはずだ。カタール戦では相手アタッカーを止めきれなかったが、これからが楽しみな選手だ。
 

　一方、冨安と同じ東京五輪世代の堂安も６試合に先発出場と、すっかり定位置を確保した感はある。ただし、期待しているからこそ言うが、今のままではワールドクラスの選手まで突き抜けきれないだろう。アジアの相手なら、警戒されてもマークを振り切って抜き去るくらいにならなければ。ボールの運び方にしろ、アタッキングサードでのラストパスにしろ、まだまだ相手に引っ掛けてしまうことも多い。まだ20歳の選手だから、これからさらに経験を積み、技術的にも身体的にも鍛え上げて、成長を遂げていってほしいものだね。