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【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|イラン戦の後の素晴らしい“笑顔”が気になった

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2019年02月02日

準決勝の勝利の瞬間をサポーター、ファンと同じテンションで迎えてはいけなかった

5度目のアジア制覇を逃した日本代表。三浦氏は準決勝のイラン戦勝利の後の笑顔が気になっていたという。

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 彼らの笑顔が一番好きなのだが、試合前の笑顔を見ると不安になる。

 彼らとは「選手たち」の事を指す。これは現場で監督を務めていた時の僕が思っていた正直な気持ちだ。勝った瞬間、また新しい試合が来ると考えれば試合後が、試合前となる。

 一番好きなのも嫌いなのも笑顔とは……。理不尽だ。

 この気持ちは結果で評価される人間の辛さであろう。良い雰囲気とはどんな空気のことなのであろう?

 勝利から逆算していき、彼らの顔付きを思いだしてみよう。彼らは本当に良い顔をしていたのであろうか? 僕が現場で監督をしていた頃、毎試合、そう思い出していた。そんな事を書いている理由がある。

 イラン戦の後(つまりカタール戦の前)、国民を喜ばせた彼らの顔は、間違いなく素晴らしい笑顔であった。ただし、その笑顔で迎える試合は不安だ。予感は的中した。

 もう一度彼らが笑顔で終え、国民を笑顔にさせたとしたら、彼らは本当のプロフェッショナルとしての仕事をしたと言える。

 でも、それは実現しなかった。カタールは強かった。日本はこの試合に関して、カタールより力が劣っていた。

 イラン戦を終え、決勝戦へ向かう日本代表をテレビで見ていて感じてしまった事だ。

 事実上の決勝戦と呼ばれた準決勝イランに勝った瞬間。正直、僕も嬉しかったし、彼らを誇りに思った。だが翌日の練習。「リラックスムードの日本代表」とコメントするテレビ局。選手は笑顔で良い雰囲気でのリカバリートレーニング? 果たして、これが決勝戦を前にしたチームにおいて望ましい空気なのか?

「緊張感のある顔をしろ!」とは言わないが……。結果で笑顔さえも否定され、リラックスさえも疑となる世界。
 
 もちろん決勝までの6試合は、素晴らしい勝ち上がりだった。大迫が離脱した状況で内容は物足りなくとも、しっかり勝ち抜いて怪我の回復を待てたチーム力。韓国、オーストラリアとライバルたちが敗退するなかで、しっかりファイナリストとなった。本来なら申し分ない結果かもしれない。

 森保監督の選手掌握、マネージメント、コミュニケーション能力が評価されるのは当然のこと。12戦目にして初の敗戦なのだから、短時間でチームをここまで作り上げたなか、立派な成績だ。

 ただもっと上を目指すべき日本代表は、準決勝で勝った瞬間を実況・解説者やサポーター、ファンと同じテンションで迎えてはいけないのである。それがみんなと違う次元のメンタリティーなのだ。
 
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