”未来”を見ると「これでいいのか」という思いが拭えない
一方で、ハーフタイムを挟んだ後半の守備のやり方を見ていると、日本は前半の受けに回った展開を快くは思っていなかったと感じました。前半とは打って変わって、原口選手と堂安選手が相手のサイドバックについて行かないやり方に変えたのです。全体を前に押し上げて守備を始めることで、相手を押し返そうとしたのだと思います。
しかし、そのやり方ではディフェンスラインにスペースができてしまい、前半にはなかったような突破を許すシーンも見られました。しかも、高い位置から守備をしたにも関わらず、押し返す展開にもなっていませんでした。
押し返せなかったのは、確かに守備の問題もありましたが、攻撃がまったく上手くいかなかったのも理由のひとつです。カウンターを急ぎすぎて精度が上がらず、ポゼッションに入ってもプレスを警戒してか簡単にボールを相手に渡していました。
選手たちはピッチの中で、その日の調子や空気感を感じて判断を下します。サウジアラビアに対して、自信を持ってボールをつなぐ選択をできなかったのは、そのあたりの肌感覚が関係していたのだと思います。ただ、それでは守備のやり方を変えたとしても、押し込まれるのは当然と言えました。
しかし、そのやり方ではディフェンスラインにスペースができてしまい、前半にはなかったような突破を許すシーンも見られました。しかも、高い位置から守備をしたにも関わらず、押し返す展開にもなっていませんでした。
押し返せなかったのは、確かに守備の問題もありましたが、攻撃がまったく上手くいかなかったのも理由のひとつです。カウンターを急ぎすぎて精度が上がらず、ポゼッションに入ってもプレスを警戒してか簡単にボールを相手に渡していました。
選手たちはピッチの中で、その日の調子や空気感を感じて判断を下します。サウジアラビアに対して、自信を持ってボールをつなぐ選択をできなかったのは、そのあたりの肌感覚が関係していたのだと思います。ただ、それでは守備のやり方を変えたとしても、押し込まれるのは当然と言えました。
そこで日本は後半の半ばにまた、微調整をしました。左の原口選手だけ相手のサイドバックについていくやり方にしたのです。押し返すことを、ある程度諦め、割り切って守る選択に移行していったと言えます。後ろは5枚気味になり、前半ほどではないにしろ、またディフェンスライン近くのスペースを消しにいったのです。
そして、交代選手も含めて段階的に”割り切り”に入った日本は、1−0で最終的にこの試合を守り倒しました。
振り返ると、非常に評価の難しい試合になったというのが正直な感想です。1−0というスコア、勝ち切ったという事実、そしてプラン通りに運べない試合を冷静に進めていった勝ち方、どれも”今”を見れば素晴らしい勝利だったと思います。
しかし、常々私は思うのですが、サッカーは”今”を見て話すのと”未来”を見て話すのとでは、話が変わってきます。”未来”を見ると「これでいいのか」という思いが拭えない試合でした。
相手を意図的に誘い込むことができず、受け身となってしまう守備はこれでいいのか。相手の守備のやり方に対する明確な意図が見られない攻撃はこれでいいのか。そして、それがサウジアラビア戦だけでなく、今大会ずっと続いているという事実はどう捉えるべきなのか。
まだ評価ができません。今はただ、あと3試合見てみたい。そう願って次戦を期待しましょう。
【著者プロフィール】
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。鹿島で不動のCBとし2007年から前人未踏のJ1リーグ3連覇を達成。2010年の南アフリカW杯メンバーにも選出された。現在は解説者として活躍中。