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【日本代表】注目の大学出身ルーキー皆川、武藤と、同世代の柴崎を「フィジカル」的側面から分析!

カテゴリ:日本代表

澤山大輔

2014年09月02日

武藤は「股関節の外旋」を使った軸の切り替えがうまい。

好調の武藤の鋭いドリブル突破は、股関節の外旋を使った左右軸の切り替えのうまさに起因しているという。(C) SOCCER DIGEST

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 続いて、FC東京の武藤嘉紀選手。股関節の外旋を使った左右軸の切り替えがうまく、ドリブルでは相手の反応に合わせて素早く切り返して抜いていく場面が見られます。踏ん張って無理やり切り返す、というシーンは見られません。加えて、後ろから押されても倒れずにドリブルを継続するシーンが目立ちます。走っている時に、大腿四頭筋(大腿部の前側の筋肉)で地面を蹴って身体にブレーキを掛けておらず、大腰筋などを使って足をしっかり前に出せているからでしょう。いわば「走りの延長線上」でシュートまで行けているのです。
 
 加えて、武藤選手はトラップの技術が非常に高く、ワントラップで次のプレーに移行できるため、素早く展開できています。仮にトラップミスをしても、上記のように切り返しの動きが得意であるため、十分にフォローできるはずです。非常に個人技が高く、自由自在のボディコントロールでゴール前まで突破していく選手ですね。日本代表が抱えていると言われる問題、個人での打開力の不足を解決できる可能性を秘めた選手といえるでしょう。
 
 ただ、課題としては上半身に固さが見られることです。股関節の外旋はうまいのですが、股関節の内外旋(=内旋は内側にねじる動き)による左右軸の切り替えに、鎖骨を含めた肩の周囲がついてきていないように感じます。そうした上半身の固さの影響か、フェイントのパターンはやや少なめのように見えます。
 
 ネイマールのように上半身を柔らかく左右に動かしてさまざまなフェイントを繰り出しながら抜いていくか、エデン・アザールのように軸の切り替えと強烈な傾きを利用してターンで抜いていくか、どちらかの特長を伸ばしていくのがよいでしょう。
 
 武藤選手も、やはり将来欧州でプレーする可能性がある選手だと思います。体格は178センチ・72キロと、決して細いわけではありません。ヨーロッパの選手と当たった時のことを考えて安易に身体を大きくしてしまうと、キレを失う可能性があります。強さよりも、より身体をゆるめる方向にトレーニングしていくのがよいでしょう。

柴崎の正確で強烈なキックは、蹴り足に体重を乗せやすい位置にボールをコントロールできているからだ。(C) SOCCER DIGEST

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 最後に、鹿島の柴崎岳選手について。正確無比な長短のパスが魅力で、ロングシュートも高い精度を持っている選手ですね。これまでの日本代表には、セットプレーでのキックは得意でも、流れの中から正確なロングシュートを撃てる選手は少なかったように思います。アギーレ監督の下で求められる役割は、カウンター時の起点になるプレーでしょうか。コロンビア代表で、今夏レアル・マドリーに移籍したハメス・ロドリゲスほどではないですが、彼もまた股関節を柔らかく使えています。
 
 柴崎選手の正確なパス、シュートの秘密は、「蹴り足に体重が乗っていること」にあります。重心(軸)の真下にボールを置き、コントロールしやすい状態にしているため、正確性とパワーを兼ね備えたキックが実現できているのです。足首だけ、足だけでコントロールしようとすると、身体全体を協調して使えないため、思ったところにボールを押し出せません。
 
 ただ、強いて課題を挙げるとすれば、アウトサイドキックでパスを出すシーンが少ないことですね。プレースタイルによるものかもしれませんが、アウトサイドで蹴ればいいシーンでもインサイドを使うケースがあり、窮屈な蹴り方になっていることが見受けられます。アウトサイドをうまく使うには、股関節の外旋の動きが必要なのですが、あまり得意ではないのかもしれません。それでも十分に正確なパスが出せるのですが。
 
 それから、パスを出した後やドリブルで仕掛けるシーンで、大腿四頭筋を使って止まったりペースを変えたりする動きも見られます。大腿四頭筋ではなく、ハムストリングを主に使うようにすれば、パスを出した後にも止まらずに次のプレーにすぐに移行できます。ドリブルでも、大腿四頭筋を使って支持脚で踏ん張って切り返すというパターンになりやすいですが、よりゴールを奪えるようになるためにも、「ハムストリングをうまく使うこと」「左右の軸の切り替え」この2つを磨いていく必要があるでしょう。

取材・文:澤山大輔(カラダジャーナリスト)
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