ネルシーニョ第1次政権後にクラブが目指したビジョンはどうなるのか?
一方で気がかりな点もある。それはクラブ全体が、どのようなビジョンを思い描いているのかだ。2014年、柏は「次の段階へ進む」と新たな舵を切ることを明言した。つまり、アカデミーとトップチームが同じ哲学を持つシームレスなクラブを目指すことである。それに伴い、ネルシーニョ監督が2014年限りで退任したのだが、実際にはこの4年間のタイトル獲得はなく、それどころか今季はJ2降格を喫した。そもそもアカデミー路線のポゼッションスタイルを志向した下平隆宏監督から、加藤望監督がサッカーのスタイルを180度転換させ、方向性が揺らいだ点もチームに混乱を招いた原因のひとつだった。
ネルシーニョ監督の再招聘によって、サッカーのスタイルも5年前に戻る。アカデミーとのシームレスなクラブ化を目指していただけに、まずはそこでチーム内に混乱が生じないか。仮にネルシーニョ監督が手腕を発揮し、来年1年でJ1へ復帰できたとしても、この4年間の反省点を検証し、クラブの方向性を今一度明確にする必要はあるだろう。
チームの再建とクラブのビジョン明確化。それがネルシーニョ第2次政権に課される柏の命題となる。
取材・文●鈴木 潤(フリージャーナリスト)
チームの再建とクラブのビジョン明確化。それがネルシーニョ第2次政権に課される柏の命題となる。
取材・文●鈴木 潤(フリージャーナリスト)