「いつも負けてばっかりで申し訳ないけど…」

ここまで2勝3分け9敗の最下位……。しかし王者バイエルン戦では、ルケバキオのハットトリックで引き分けに持ち込んだ。このような効率の良いかたちで今度、どれだけ勝点を積み重ねられるかが、昇格クラブの命運を握る。 (C) Getty Images
それでも、フリードヘルム・フンケル監督が「70分まで負けるとは思っていなかった」と語るように、ブレーメンも糸口を見つけられないでいたのは確か。とはいえ、デュッセルドルフに2点目を取る可能性が感じられたわけではない。引き分けで勝点1を奪えれば御の字という戦い方だった。
このように今の戦い方では、先に失点すると、どうしても厳しくなる。その点は、宇佐美も指摘している。
このように今の戦い方では、先に失点すると、どうしても厳しくなる。その点は、宇佐美も指摘している。
「点を取られないってところを突き詰めていく――。でも、取られないというところのモチベーションは、こちらに点が入らないと、なかなか生み出せない。点が1つ入れば、それを守り切れば、というモチベーションを与えられる」
それは、ファンに対しても同じだ。
「どんな結果であれ、拍手をしてくれるファンに対し、やっぱり喜びを与えていかないといけない。いつも負けてばっかりで申し訳ないですけど、だからこそ、どんな状況でもチーム全員で、常に切り替えてやっていくしかないと思います」
どんな戦い方でも、それが勝利や勝点に繋がればこそ、信じることも我慢することもできる。
昇格組として、他クラブと比べて戦力差は大きい。守りに力を入れざるを得ない現実から、目を背けることはできない。でも、そのなかで得点を取り、勝点奪取の可能性を少しずつでも高めていけないと、残留には届かない。
今節、フライブルクとのホームゲーム(日本時間15日23時30分開始)で勝てるかどうかは、少なからず今後の行方に影響してくることだろう。結果もそうだが、内容的にも今後、自分たちを信じて勇敢に戦えるための兆しを見出したい。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日生まれ。秋田県出身。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2018-19シーズンからは元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU16監督を務める。「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)、「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」(ナツメ社)執筆。オフシーズンには一時帰国して「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。