脈々と受け継がれる勝者のDNA。鹿島ユースが圧巻の勝負強さでプレミアEASTを制覇

カテゴリ:Jリーグ

小室功

2018年12月04日

「目前の試合に集中する。一戦必勝」の姿勢は変わらない

選手として鹿島の黄金期を経験した熊谷監督は「クラブの歴史や成り立ちをアカデミーの選手たちに伝えていくのも自分たちの役割」と語る。写真:小室功

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 1994年、三本木農高(青森)から鹿島入りした熊谷監督はルーキー時代にクラブの“育ての親”であるジーコとともに過ごした。「サッカーに対して真摯に向き合う姿勢から多くのことを学んだ」と、ジーコイズムの洗礼を受けた。
 
2000年にJリーグ史上初の国内三冠に主力ボランチとして貢献しているが、チームが良き時ばかりではなく、結果が伴わず、もがいた時期をよく知るひとり。度重なる怪我に苦しみ、ピッチに立てない日々もあった。これまでの経験の数々が指導者としての深みを形作っているのは確かだろう。
 
04年のシーズン途中まで鹿島に在籍し、その後、仙台に移籍したが、現役引退とともに06年に古巣に復帰。当初はスカウト担当を務め、11年からユースコーチになり、14年から現職に就く。
 
鹿島OBを育成組織の指導者に迎え入れるのは強化部の人事戦略のひとつでもある。クラブに息づくジーコイズムの途切れることのない継承を意図している。
 
「鹿島の今があるのは、これまでクラブに関わってきたすべての人たちの努力のおかげ。サッカーにとどまらず、そういうクラブの歴史や成り立ちをアカデミーの選手たちに伝えていくのも自分たちの役割だと考えている」(熊谷監督)
 
 振り返れば、15年に現在トップチームに在籍する町田浩樹、田中稔也、FC町田ゼルビアに期限付き移籍中の平戸太貴、ツエーゲン金沢に期限付き移籍中の垣田裕暉らを擁し、プレミアリーグのチャンピオンシップに進出。エースの堂安律を筆頭に圧巻の攻撃力で勝ち上がってきたガンバ大阪ユースを相手に守備に回る時間が長かったものの、辛抱強く戦った鹿島ユースは、田中の値千金の1点を守りきり、初の栄冠を手にする。
 
 来る12月15日、3年ぶり2度目となる“高校年代の真の王者”に挑む。
 
「選手たちには常に100パーセントを出し切ろうと伝えている。それはただ一生懸命にやればいいわけじゃなく、チームのためになにが必要なのか、そこをしっかり考えて最善を尽くすということ。相手がどこになろうと、後悔のないよう、できる限り良い準備をしてファイナルに臨みたい」(熊谷監督)

 プレミアリーグWESTの優勝争いは12月9日の最終節までもつれ込んだ。数字上では複数チームにファイナル進出のチャンスはあるとはいえ、実質的には首位の広島ユースと2位の京都サンガU-18の直接対決が大一番になるだろう。
 
 ちょうど同じ時刻に鹿島ユースは地元カシマスタジアムで流経大柏と戦う。「目前の試合に集中する。一戦必勝」が変わらぬ姿勢だ。それがファイナルへの勢いを作っていく。

取材・文●小室功(フリーライター)
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