ショックで早々に帰る子供も… Jリーグ史上稀に見るあまりに不思議で残念な一戦の顛末

カテゴリ:Jリーグ

前島芳雄

2018年11月26日

アディショナルの前にも笛が吹かれるべき場面で吹かれなかったシーンが何度かあった

90分から途中出場のウェリントンが退場になるなど、終盤は荒れに荒れた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

画像を見る

 最初のアクシデントは、90+3分に河井が橋本との頭同士の激突で出血と脳しんとうを起こした場面。橋本のコンタクトは明らかにアフターだったが主審の笛はなく、頭部の負傷にもかかわらず、プレーを止めるのも遅れた。河井の出血が大量だったこともあってスタジアムが騒然となり、再開後になかなかタイムアップの笛が吹かれないことで神戸の選手のイライラも募る。
 
 次は、ポドルスキがボールに向かわずに立田に激しいコンタクト、立田は過呼吸状態になって河井と共に救急搬送された。しかし、ここでもファウルにはならない。アディショナルタイムの前にも笛が吹かれるべき場面で吹かれなかったシーンが何度かあり、荒れた展開を助長しているように感じられた。
 
 そこから再開後に清水が左CKを獲得し、ゴール前まで上がってきたGK六反が石毛のキックを頭でねじ込んで、ついに同点。何かが乗り移ったような奇跡的な一発の得点時間は、90+14分と記録された。
 
 だが、それでも試合は終わらず、ウェリントンが危険なアフタータックルでイエローカードを受けると、目の前で見ていた清水ベンチの選手たちが激昂。それに強く反応したウェリントンやポドルスキらと乱闘寸前の小競り合いとなった。これでウェリントンに2枚目のイエローが出て90+18分に退場。
 
 最後のFKは、河井に代わって出場した兵働が自身最後のホームゲームでキッカーを務めたが、これはゴールにつながらず3-3でついにタイムアップを迎えた。
 
 最後はなんとも言いがたい幕切れだったが、結果的に清水は執念で追いついて6戦無敗。神戸は勝点1を獲得してJ1残留を決めた。河井と立田のケガも幸い大事には至らなかったようだ。
 
 だが、この試合を観ていた2万人の中には、チームとして大きく進化してきた清水のサッカーやイニエスタの妙技を楽しみにしながら訪れた子どもたちもたくさんいた。筆者の友人も小学3年生の愛息を連れて観戦に来ていたが、子どもがショックを受けたので試合後のセレモニーも見ずに早々に帰ったという。サッカーの魅力を伝えるシーンもあったが、最後に子どもに見せてはいけない試合になってしまったことは本当に残念だった。

取材・文●前島芳雄(フリーライター)
【関連記事】
【J1採点&寸評】清水3-3神戸|大荒れゲームのMOMは該当なし。90+18分に退場のウェリントンの評価は…
乱闘騒ぎの末に追加タイムは約20分… 清水のFW鄭大世が審判団のゲームコントロールの問題点を指摘
「彼はいつだって英雄だ」スペイン紙が“大荒れ”清水戦でのイニエスタの紳士的振る舞いを絶賛!!
「言いたいことは色々あると思うけど…」ポドルスキが“大荒れ”の清水戦をSNSで語る
ポドルスキを取るか、チャナティップを取るか? 外国人枠の拡大で問われるJクラブのビジョン

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ