誰かに教わるのではなく…
環境に恵まれたデル・ピエロは、サッカーに対する熱をどんどん高めていった。同じリフティングでも、周りがサッカーボールでするのを、テニスボールでやってのけた。
サッカーが上手くなりたい。その熱量に担ぎ出されるように、世に出た。その姿には、周りの人の心を突き動かすものがあった。デル・ピエロは、さらにそれに応えた。その連鎖が、光り輝くスターを作った。
サッカーが上手くなりたい。その熱量に担ぎ出されるように、世に出た。その姿には、周りの人の心を突き動かすものがあった。デル・ピエロは、さらにそれに応えた。その連鎖が、光り輝くスターを作った。
「弟は、カルチョのために生まれてきた。才能と情熱を、どちらも持っていたんですよ。そして、誰からも愛された」
兄は静かな目をして言った。
デル・ピエロは、誰かにサッカーを教わったことはない。彼自身がその情熱によって、才能を磨き続けた。真のカルチャトーレ(サッカー選手)だったのだろう。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。