まるで生き物のようだったユーベ攻撃陣。一方でユナイテッドは?
ジョゼ・モウリーニョ監督は試合後の会見で、「ハーバード大学で授業ができる」とユベントスの2CBを絶賛したが、それは、論点をズラそうとしているようにも見える。違いが出たのはDFのクオリティーではなく、攻撃面での連動だからだ。
例えばユーベは、右ウイングのファン・ギジェルモ・クアドラードが引けば、SBのジョアン・カンセロが高い位置に生まれた空きスペースに飛び込む。前線の攻撃の起点となったミラレム・ピャニッチからパウロ・ディバラに縦パスが入れば、きちんとボランチのロドリゴ・ベンタンクールが近づいてサポートに入った。
彼らが高い位置でボールを持つと、C・ロナウドは裏のスペースに走り込んだ。決勝点となったシーンでは、流動的なパスワークで右サイドを抜け出したポルトガル代表FWの鋭いクロスボールから、ディバラのゴールが生まれている。
例えばユーベは、右ウイングのファン・ギジェルモ・クアドラードが引けば、SBのジョアン・カンセロが高い位置に生まれた空きスペースに飛び込む。前線の攻撃の起点となったミラレム・ピャニッチからパウロ・ディバラに縦パスが入れば、きちんとボランチのロドリゴ・ベンタンクールが近づいてサポートに入った。
彼らが高い位置でボールを持つと、C・ロナウドは裏のスペースに走り込んだ。決勝点となったシーンでは、流動的なパスワークで右サイドを抜け出したポルトガル代表FWの鋭いクロスボールから、ディバラのゴールが生まれている。
ごく当たり前の攻撃の連動やポジションチェンジを彼らは連続的に起こし、美しさすら感じさせた。4-4-2と4-3-3を瞬時に入れ替える変則的なシステムで戦ったユーベの攻撃は、まるで生き物のようだった。
一方のユナイテッドといえば、攻撃はすべて単発で、連動性はほぼ皆無だった。
アントニー・マルシアルやルーク・ショーは、定位置で棒立ちとなってボールを受けることが多く、相手を混乱させられず、ポール・ポグバがいくら中盤で相手をかわしてサイドに展開したところで、何も起こらない。
ファン・マヌエル・マタが必死に走り回り、チームの歯車を動かそうと奔走していたが、その意図を感じる選手はサイドにいない。結果、高い位置で良いボールの持ち出し方をしても、それ以上に何かが生まれることはなく、決定機をほとんど作れれないうちに試合終了となった。
モウリーニョの言う通り、確かにユーベの最終ラインのクオリティーは高かったかもしれない。ただ、それだけでは、ポグバやロメル・ルカクなど、タレント陣を擁する攻撃陣がここまで不発に終わることはないだろう。相手が流れるような連動性を見せていたからこそ、ユナイテッドの粗が尚更目立ってしまった。
試合後、C・ロナウドがピッチを去る際、ユナイテッド・サポーターから再び大きな拍手が送られた。それは元エースに対し、ごく普通にリスペクトを表しただけかもしれない。ただ、「稀代のアタッカーが今もいれば……」という羨望の感情も少なからずあったのではないだろうか。
そんな穿った見方をせずにはいられないほどに、C・ロナウドは相変わらず、攻撃面で異彩を放っていた。
取材・文●内藤秀明 text by Hideaki Naito