「大島僚太に近い印象」昌平高・原田虹輝のポテンシャルを王者・川崎はどう評価した?

カテゴリ:Jリーグ

平野貴也

2018年10月24日

「3月に見た時は出ていなかったかもと思ったくらい」春先から印象は激変

インターハイではチームの4強入りに貢献。2回戦では優勝候補の青森山田を撃破した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 現時点で原田の期待値を表わす言葉は「大島2世」が相応しいだろう。ただ、向島スカウト担当が「大島は、最初はドリブラーの印象が強かったし、守備はダメだった。でも、彼自身が長所を生かしながら今の(攻撃的ボランチとしての)スタイルを確立してきた。彼にも大島や(中村)憲剛の良い所を盗みながら、自分なりのスタイルを確立してほしい」と話したように、高校レベルで見せているプレーは、原型に過ぎない。
 
 原田も、先輩との比較を超える選手になりたいという意欲を持っており、プロ入り後の進化が見ものだ。練習参加では、プロの世界のパスとトラップの質の違いを思い知らされたというが、2日目には多少慣れたという。課題を見つけ、改善する力が問われるが、原田は高い改善能力を示してきた選手だ。武器として意識しているのは、ずっとドリブル。しかし、虹輝(こうき)の名に込められた「色々な色に輝いてほしい」(母、友恵さん)という期待に応えるように、プレーの幅を広げてきた。
 
 まだ完成された選手でないことは、この1年の変化を見ても明らかだ。今季序盤は、チームが新人戦や関東大会予選で埼玉県の頂点に立てず、苦しんでいた。その中で、状況を打開するために、より攻撃的なプレーを目指したことが、評価を変えた。3月にプレーをチェックしていた向島スカウト担当は、当初は強い興味を示していなかった。しかし、「インターハイでは印象が違って、アッと思った。彼にボールが集まり、中心のチームになっていた。3月に見た試合には出ていなかったかもと思ったくらい」と成長度合いに目を留めたことを明かした。
 
 原田は昨年、ストライカーの佐相壱明(大宮)や、司令塔の山下勇希(東洋大)に決定的な仕事を任せた方が良いと考え、黒子役を務めていた。しかし、最終学年でチームが結果を出せないなか、「以前ならシュートを打たない場面でも打つようになって、入ると分かって自信につながった」と自分がチームを勝たせるプレーにたどり着いた。結果、原田を経由した得点イメージがチームで共有され、評価を変えることにつながった。向島スカウト担当は「残り3か月、より高いレベルで経験を積んで来てほしい」と加入前のさらなる進化にも期待していた。
 
 プロ入りは決まったが、目下の目標は、27日に初戦(3回戦)を迎える第93回全国高校サッカー選手権大会の埼玉県大会だ。原田は「最終目標は日本一だけど、県大会も厳しい。一戦、一戦。まずは初戦に集中したい」と言葉に力を込めた。原田の父、智宏さんは、大宮東2年次に1990年度の全国大会に出場して8強入り。その後、東京ガス(現FC東京)でプレーした。原田は、川崎入りで期待のかかる「大島2世」の呼び声にふさわしい能力を持ち、父を超える名選手になる可能性を、昌平高での最後の大舞台で証明するつもりだ。
 
取材・文●平野貴也(フリーライター)
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