盟主ゆえの憂鬱と苦闘…“連敗”バイエルンに何が起こっているのか!? 【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2018年10月18日

中断期にチームを立て直そうにも選手がいない…

コバチ監督は、バイエルンを取り巻く独特の環境のなかで苦労が絶えないようだ。ドイツ代表も連敗を喫し、心身両面で疲弊したであろう主力選手を迎えて、今後も戦い続けなければならない。写真はボルシアMG戦でのアラバ負傷退場時。 (C) Getty Images

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 それでも、このサッカーで結果が出ていれば文句は出ない。だが実際は、直近の公式戦4試合で7失点……。ボールの失い方が悪ければ、守備ブロックの築き方も堅さを感じさせない。守備がうまくいかないと、攻撃はさらにうまく回らない。
 
 ヘルタ戦では、相手の鋭いプレスに苦しんだ。それをかいくぐる術を、バイエルンは持っていたはずだ。にもかかわらず、あっさりと相手の防御網に嵌ってしまう。チャンスがないわけではないが、決め切れない。
 
 ボルシアMG戦でも、不用意なミスでボールを失い、相手にゴールをプレゼント。今回の連敗は、「バイエルンにも勝てるんだ」という事実を、ブンデスリーガの他クラブに知らしめることとなった。
 
 このリーグ中断期にチームを立て直したくても、代表ウィークゆえに選手がいない。ミュンヘンに残っている選手は10人もいなかった。
 
 それでもコバチ監督には、それを嘆くこともできない。バイエルンがそういう立ち位置と環境にあるクラブだというのは、自身もよく知っているのだから。怪我人が出ていても、選手層の厚さは、ブンデスリーガでは別格だ。言い訳はできない。
 
 元ドイツ代表のディトマール・ハマンは、「全体のことよりも、個人のことを優先している選手がいる。何人かの選手は、首脳陣に駆け寄って文句を言ったんじゃないだろうか。戦術がない、ローテーションが多い、トレーニングがハード過ぎる、トレーニングが少な過ぎる……。選手はいつも、言い訳を探している」と指摘している。
 
 結局は、一つひとつの試合にどれだけ真剣に向き合えるかが大事であり、そのために力を発揮できる選手を見定めることが大切なのだ。まずは1勝。全ては、それからなのだから。
 
文:中野 吉之伴
 
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日生まれ。秋田県出身。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2018-19シーズンからは元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU16監督を務める。「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)、「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」(ナツメ社)執筆。オフシーズンには一時帰国して「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
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