次節の相手は川崎。真の意味での地力を試されることに
そして名古屋は連勝の中である意味“ごまかせていた”部分を突かれ、失点を重ねた。鈴木武蔵のハットトリックはすべて名古屋の左サイドからのクロスを決めたもので、攻撃面で活躍する金井の裏のスペースを使って攻めようとしていたことは明らか。名古屋は左サイドハーフに大学2年生のテクニシャン、児玉駿斗を起用していたために普段以上に守備が手薄になっていた部分もあった。クロス対応は前半戦における名古屋の課題で、丸山と中谷進之介が加入してからは改善の一途を辿っていたのだが、飯尾竜太朗や澤田崇らにフリーで抜け出され、完全にボールウォッチャーになって背走する状況を作られてはどんなDFでも対応は難しい。中谷は鈴木とのマッチアップにも苦戦し、リズムを崩していく中で後半にはPKも献上。あるいは鈴木は中谷に対してアドバンテージを握れると踏んでの起用も戦略には含まれていたかもしれない。
ただし名古屋も3得点を挙げており、こと個人技の高さは誇示してもいる。前田直輝のドリブルからのカットインシュートは足の振りも小さく実にテクニカルで、ジョーの2得点はいずれも彼特有の得点感覚が存分に発揮された素晴らしいものだった。ジョーはこれで得点を20点の大台に乗せ、24試合・20得点という桁違いのハイアベレージで得点を量産。その意味では4失点したからこその敗戦ともいえ、攻撃陣の出来を責めることはできない。そうなれば自ずと敗因は守備陣にあるように思えるが、守備に負担を強いたのは相手の嫌がることをせずに真っ向勝負を挑んでばかりいた攻撃陣である。つまり問題は攻守両面にあり、どちらかに寄ったものではないということだ。それでも丸山は「僕は守備の人間なので」と言い、「4失点していてはね」と視線を落とした。
手厳しかったのは玉田圭司だ。「点を取られる、取られないというのは本当に細かい部分だから、修正していかないといつかやられる」と、連勝の中で埋もれてしまいがちな課題があると警鐘を鳴らしていただけに、この敗戦を「自分たちがそこまで強くないってことを長崎が証明してくれたんじゃないかな。結果は出ていたけど、結果に内容が伴っていないということが証明された試合だったと思う」と苛立ち気味に断じた。
玉田の言葉は感情的に過ぎるとしても、本質としては間違っていない。今となっては連敗を避けるために、これを良い教訓として次の戦いに活かすほかないわけだが、次節の相手は川崎である。連勝の神通力が途切れたいま、名古屋は真の意味での地力を試されることとなった。7連勝は偶然には生まれない。今後の戦いでそれを証明することは、降格圏まで勝点2差となった残留争いを勝ち抜くためにも必要な条件になってくる。
取材・文●今井雄一朗(フリーライター)
手厳しかったのは玉田圭司だ。「点を取られる、取られないというのは本当に細かい部分だから、修正していかないといつかやられる」と、連勝の中で埋もれてしまいがちな課題があると警鐘を鳴らしていただけに、この敗戦を「自分たちがそこまで強くないってことを長崎が証明してくれたんじゃないかな。結果は出ていたけど、結果に内容が伴っていないということが証明された試合だったと思う」と苛立ち気味に断じた。
玉田の言葉は感情的に過ぎるとしても、本質としては間違っていない。今となっては連敗を避けるために、これを良い教訓として次の戦いに活かすほかないわけだが、次節の相手は川崎である。連勝の神通力が途切れたいま、名古屋は真の意味での地力を試されることとなった。7連勝は偶然には生まれない。今後の戦いでそれを証明することは、降格圏まで勝点2差となった残留争いを勝ち抜くためにも必要な条件になってくる。
取材・文●今井雄一朗(フリーライター)