森保監督が若手発掘を急いだのは、ロシア・ワールドカップの代償でもあるだろう
世界的に見ても、これほど思い切ったワールドカップ後のリスタートはなかなか珍しい。
日本と同じくロシア・ワールドカップでベスト16敗退となったスペイン代表は、ルイス・エンリケ新体制のその初陣に、セルヒオ・ラモスやセルヒオ・ブスケッツをはじめ、13人のロシア組を招集している。アンドレス・イニエスタ、ジェラール・ピケ、ダビド・シルバといった絶対的な主力の代表引退がありながら、その世代交代は緩やかだ。
純粋な新戦力はインサイドハーフのダニ・セバジョス(22歳/レアル・マドリー)、左SBのホセ・ガヤ(23歳/バレンシア)くらいだろう。4年後の中心選手となり得るマルコ・アセンシオが、22歳にしてすでにワールドカップの大舞台を踏んでいるのは心強い。
UEFAネーションズリーグという真剣勝負に挑んだスペインが例外的だったわけではない。例えば、日本と同じく親善試合がリスタートとなったブラジルも、ネイマールを筆頭に招集メンバー24名中13名がロシア組だった。
日本と同じくロシア・ワールドカップでベスト16敗退となったスペイン代表は、ルイス・エンリケ新体制のその初陣に、セルヒオ・ラモスやセルヒオ・ブスケッツをはじめ、13人のロシア組を招集している。アンドレス・イニエスタ、ジェラール・ピケ、ダビド・シルバといった絶対的な主力の代表引退がありながら、その世代交代は緩やかだ。
純粋な新戦力はインサイドハーフのダニ・セバジョス(22歳/レアル・マドリー)、左SBのホセ・ガヤ(23歳/バレンシア)くらいだろう。4年後の中心選手となり得るマルコ・アセンシオが、22歳にしてすでにワールドカップの大舞台を踏んでいるのは心強い。
UEFAネーションズリーグという真剣勝負に挑んだスペインが例外的だったわけではない。例えば、日本と同じく親善試合がリスタートとなったブラジルも、ネイマールを筆頭に招集メンバー24名中13名がロシア組だった。
森保監督が世代間融合を一旦脇に置いて、なによりも若手の発掘を急がなくてはならなかったのは、直前の政権交代を受け、計算の立つ中堅・ベテラン中心のチーム編成で戦わざるを得なかったロシア・ワールドカップの代償でもあるだろう。
リオ五輪世代からメンバー入りしたのは、植田、遠藤、大島、そしてGK中村航輔の4人だけで、いずれも本大会では1分たりとも出場機会を得られなかった。期待の大きかった中島も浅野拓磨も井手口陽介も落選。つまり、世代交代の遅れを一気に取り戻そうとした結果が、コスタリカ戦のみずみずしさこの上ないメンバー構成につながったわけだ。
中島は乾貴士から左サイドのポジションを奪えるのか、南野と香川真司の共存は可能なのか、ボランチの柴崎岳、CBの吉田麻也のパートナーに相応しいのは誰なのか。そうしたいくつもの疑問に対する答は、融合よりも若手発掘が優先されたコスタリカ戦では出なかった。
ヤングパワーの台頭は喜ばしい。けれど、一歩立ち遅れた印象も否めない。
20代前半の若手が、猛スピードで追い越し車線を飛ばしている。
しかしながら、抜き去るべき前方のターゲットはまだ見えないし、先を行くそのスピード感も分からない。彼我の力関係をようやく確認できるのは、パナマ、ウルグアイと戦う10月シリーズか。
UEFAネーションズリーグの創設で、ヨーロッパ勢とテストマッチが組める可能性はこれまで以上に低くなった。4年後は、あっという間にやって来る。強化のための時間と機会は限られている。
文●吉田治良(スポーツライター)
リオ五輪世代からメンバー入りしたのは、植田、遠藤、大島、そしてGK中村航輔の4人だけで、いずれも本大会では1分たりとも出場機会を得られなかった。期待の大きかった中島も浅野拓磨も井手口陽介も落選。つまり、世代交代の遅れを一気に取り戻そうとした結果が、コスタリカ戦のみずみずしさこの上ないメンバー構成につながったわけだ。
中島は乾貴士から左サイドのポジションを奪えるのか、南野と香川真司の共存は可能なのか、ボランチの柴崎岳、CBの吉田麻也のパートナーに相応しいのは誰なのか。そうしたいくつもの疑問に対する答は、融合よりも若手発掘が優先されたコスタリカ戦では出なかった。
ヤングパワーの台頭は喜ばしい。けれど、一歩立ち遅れた印象も否めない。
20代前半の若手が、猛スピードで追い越し車線を飛ばしている。
しかしながら、抜き去るべき前方のターゲットはまだ見えないし、先を行くそのスピード感も分からない。彼我の力関係をようやく確認できるのは、パナマ、ウルグアイと戦う10月シリーズか。
UEFAネーションズリーグの創設で、ヨーロッパ勢とテストマッチが組める可能性はこれまで以上に低くなった。4年後は、あっという間にやって来る。強化のための時間と機会は限られている。
文●吉田治良(スポーツライター)