最も強さを感じさせた試合でも4点差

バルセロナの象徴だったL・エンリケ監督が、レアル・マドリーの選手を多く起用したことも話題になったクロアチア戦。全ての選手が躍動し、会場エルチェの観客は至福の時間を味わうことができた。 (C) Getty Images
一方、ネーションズ・リーグでは、イングランドに続いてクロアチアと、ロシアW杯上位国を立て続けに下したスペイン。内容も良かったことで、L・エンリケ監督率いるチームの評価はうなぎ登りとなっている。
大差での勝利については、もちろん世界トップクラスの攻撃力を有するだけに、当然、過去にも多くの例がある。直近では、今年3月にアルゼンチンを6-1で撃破したことが記憶に新しい。メッシ不在とはいえ、南米の雄を5点差で下したことで、改めてスペインの強さを世界に知らしめたものである。
大差での勝利については、もちろん世界トップクラスの攻撃力を有するだけに、当然、過去にも多くの例がある。直近では、今年3月にアルゼンチンを6-1で撃破したことが記憶に新しい。メッシ不在とはいえ、南米の雄を5点差で下したことで、改めてスペインの強さを世界に知らしめたものである。
なお、直近で6点以上の差をつけた試合は、17年9月5日、ロシアW杯予選リヒテンシュタイン戦での8-0である。実力差を考えれば、これはさほど驚く結果ではないだろう。
過去には、幾度も2桁得点&完封勝利を挙げている「無敵艦隊」。ただそれは、格下を相手にしたものがほとんどだ。いくら圧倒的な攻撃力を誇っているとはいえども、ある程度点を取ったところで守りを強化し、試合を終わらせるのが普通である。もちろん、この国が常に攻撃力だけをウリにしていたわけではない。
攻撃で鳴らすスペインの凄さを最も感じさせたのは、史上初のメジャーイベント3連覇を成し遂げたEURO2012決勝のイタリア戦だろう。試合は4-0。4点差でも、強豪相手には十分すぎる大差のスコアである。
他に、強敵と言える相手との大勝劇を挙げるなら、98年フランスW杯グループリーグのブルガリア戦で記録した6-1。ただ、当時のブルガリアは名手を擁しているとはいえ下り坂のチームだった。また、スペインはこの試合の終了を待たずしてグループリーグ敗退が決定し、まさに笑顔のないゴールラッシュとなった……。
そういった意味では、86年メキシコW杯の決勝トーナメント1回戦でデンマーク相手に5-1で勝利した一戦の方が価値は高いだろう。グループリーグ全勝で大旋風を巻き起こしたW杯初出場の北欧の雄に先制されながらも、相手のミスを見逃さずにブトラゲーニョが4ゴールを奪い、予想を覆して準々決勝進出を果たした。
なお国際親善試合では、2010年6月8日にポーランドから6点を奪って完封勝利を飾っている。相手にはレバンドフスキらがいたが、彼はまだ22歳でこの夏にようやくドルトムントに加入したばかり。今回のケースには適さないか……。
このように、過去を振り返っても例がない強豪相手の6点差勝利を、今回、W杯ファイナリスト相手に達成してみせたスペイン。L・エンリケ監督は「全てが私を満足させるものであり、とても素晴らしかった。我々は本来のレベルを取り戻した」と、歴史的な一戦を振り返っている。(スペイン紙『Marca』より)
ロシアW杯では決勝トーナメント1回戦で敗退し、一部の主力選手の代表引退もあって、いよいよ輝かしき時代の終焉を感じさせたスペインだが、新たなチームは船出から早くも躍動している。再び黄金時代に突入することができるか、今後の歩みが楽しみである。