賭け事にはまるようなことは避けるべきだが…
しかし一方で、「博打に強いようなプレーヤーが成功を収める」という意見も根強く残っている。「勝負度胸」とでもいうのだろうか。とりわけ、ゴールゲッターにはこの傾向があるだろう。
例えばスペイン代表のFWジエゴ・コスタは、ポーカーはプロ並みの腕前であるという。スペインの2部リーグ時代には、地元の大会に率先して出場し、優勝賞金を稼いでいたともいわれる(給料が安いのも理由だったし、当時は未払いの月もあった)。試合後にチームメイト同士で集まって、カードゲームを楽しむのは日課だった。
例えばスペイン代表のFWジエゴ・コスタは、ポーカーはプロ並みの腕前であるという。スペインの2部リーグ時代には、地元の大会に率先して出場し、優勝賞金を稼いでいたともいわれる(給料が安いのも理由だったし、当時は未払いの月もあった)。試合後にチームメイト同士で集まって、カードゲームを楽しむのは日課だった。
D・コスタは大柄な体躯で、とにかく膂力(りょりょく)に優れる。何より、性格はふてぶてしく、度胸満点。そして勝負の駆け引きにおいて、冷静に相手の“手札”を読める特性があるからこそ、敵の鼻を明かすようなゴールを放り込めるともいわれる。
賭け事にはまるようなことは、ひとりのスポーツ選手としては避けるべきなのだろう。実際に没頭してしまったら、本末転倒である。しかし、勝負に対する冷徹さと、ぎりぎりのせめぎ合いを楽しめるメンタリティーが、フットボーラーにとってのアドバンテージになり得るのも事実なのである。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。