ポジティブな言葉が並んだメディア評! 今後は!?
W杯で国中がこれほどまでに高揚感に満ちたのは、西ドイツにPK戦の末に敗れた1990年のイタリア大会以来だ。あの時の国内での反響は凄まじかった。スリーライオンズはベスト4で散ったが、誰もが気力を振り絞って戦った選手たちを称え、帰国の際には彼らを迎えようと、空港やその付近に15万人もの人々が集まったほどだった。
それから28年の歳月が流れ、ロシアから戻った選手たちは、意外にも少数のファンからしか迎え入れられなかったが、国内メディアの論調はポジティブなものが目立った。辛口で知られる高級紙『Telegraph』ですら、「期待を大きく上回り、美しく戦った」と綴ったほどだ。
近年の英国内では、「ブレグジット(EU離脱)」による政治的不安など、暗いニュースが先行していただけに、人々は少しでもポジティブな話題にすがり、それに没頭したかったのだろう。ゆえにメディアでも、否定的な意見でなく、肯定的な意見がウケたのかもしれない。
それから28年の歳月が流れ、ロシアから戻った選手たちは、意外にも少数のファンからしか迎え入れられなかったが、国内メディアの論調はポジティブなものが目立った。辛口で知られる高級紙『Telegraph』ですら、「期待を大きく上回り、美しく戦った」と綴ったほどだ。
近年の英国内では、「ブレグジット(EU離脱)」による政治的不安など、暗いニュースが先行していただけに、人々は少しでもポジティブな話題にすがり、それに没頭したかったのだろう。ゆえにメディアでも、否定的な意見でなく、肯定的な意見がウケたのかもしれない。
これまで厳しい目を向けてきたファンを虜にし、再び情熱を取り戻したスリーライオンズの未来は明るい。平均年齢26.0歳とチームは若く、さらに昨年5月にはU-20W杯を制すなど、ユース年代からの突き上げも凄まじいからだ。
さらにFA(イングランド・サッカー協会)は、大会前にスポンサーを失っていたが、いくつかの企業から好条件を提示されているようである。
そんなイングランド代表の眼前の目標は、9月に幕が開けるネーションズリーグで勝利を収めることにある。スペイン、クロアチアと同居するグループで好ゲームを演じれば、ファンやメディアの評価は再び高まるはずだ。
とくに、先のW杯の準決勝で苦杯をなめさせられたクロアチアへ仕返しができれば、代表人気はうなぎ登りとなるだろう。イングランド人は、そうした“報復”が好きなのだ。
ロシアW杯前には限りなく低かったと言っていい期待値が、急激に高まっているイングランド。国民の注目度があるなかで、彼らはいかに成長していくのか? 2020年のEUROに向けて、サウスゲイトの手腕も含め、目が離せない。
そして最後に一つ、読者の皆さんに言わせてほしい。この大会の期間中、ロンドンで私の友人たちの多くは、日本代表のベルギー戦でのパフォーマンスに感動を覚えていた。
彼らは皆、日本が逞しく、そして上手くプレーしていたことを評価し、そして敗退した際には大いに惜しんでいた。それほどまでに、サムライブルーの躍進は英国でも話題となっていたことを、ここでお伝えしておきたい。
文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)
【著者プロフィール】
STEVE MACKENZIE/1968年6月7日にロンドンに生まれる。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝を飾った。