そこには両親と本人の「人の道」への考え方が
ジネディーヌ・ジダンに誘われてレアル・マドリーを訪問したものの、ASモナコの育成センターを選んだ少年エムバペ。その少年が初めてプロと一緒のロッカールームを体験した日、母が様子を尋ねたという。少年は記念すべき一日とロッカールームの印象を母に語り、「用務係の男の人がスパイクを磨いてくれたんだ」と報告した。
ところが母は「なんですって!?」と驚き、「わずか17歳の育成センターの子が、大人のムッシューにスパイクを磨かせるなんてことは、してはいけません! 自分でやりなさい」と叱ったという。母は常に「人の道」を息子に示し続けているのだ。
ワールドカップ中もフランス人ジャーナリストたちは、移動の機内でエムバペの両親と一緒になり、驚いたという。アルゼンチン戦で2ゴールを叩き込んで世界をあっと驚かせた直後なのに、「彼の両親は穏やかに喜んではいたものの、驚くべき静けさを醸し出し、平常の通りだった」(テレビ『la chaine L’EQUIPE』のリポーター)からだ。普通なら息子の活躍に欣喜雀躍し、それを周囲に撒き散らしかねないところだが、どうやら両親も只者ではない教育者のようだ。
ところが母は「なんですって!?」と驚き、「わずか17歳の育成センターの子が、大人のムッシューにスパイクを磨かせるなんてことは、してはいけません! 自分でやりなさい」と叱ったという。母は常に「人の道」を息子に示し続けているのだ。
ワールドカップ中もフランス人ジャーナリストたちは、移動の機内でエムバペの両親と一緒になり、驚いたという。アルゼンチン戦で2ゴールを叩き込んで世界をあっと驚かせた直後なのに、「彼の両親は穏やかに喜んではいたものの、驚くべき静けさを醸し出し、平常の通りだった」(テレビ『la chaine L’EQUIPE』のリポーター)からだ。普通なら息子の活躍に欣喜雀躍し、それを周囲に撒き散らしかねないところだが、どうやら両親も只者ではない教育者のようだ。
19歳でワールドカップを迎えたエムバペは、フランス・サッカー連盟が支給する勝利ボーナスを、なんと全額慈善活動に寄付すると表明した。他の選手たちもこれに続いたが、彼らはあくまで勝利ボーナスの一部寄付。エムバペは断固、全額を寄付する見込み。すでに年齢には不釣り合いな給与を得ており、しかも、代表マッチでおカネをもらう筋はないと判断したのだ。そこにも両親と本人の「人の道」への考え方が感じ取れる。
さて、これに比べてぐっと低級な巷の話題はと言えば、「世界王者になったエムバペは、評判が落ちた“転がりネイマール”の扱いについて、難しい立場に追い込まれるのでは?」というもの。だが元パリ・サンジェルマン監督のポール・ルグエンは、「エムバペのインテリジェンスから見て、問題が起こるとすれば、むしろネイマールのほうからだろうね」と予測する。
一方、バロンドールを巡るレースもすでに話題だ。グリエーズマン、エデン・アザール、ケビン・デ・ブルイネ、リオネル・メッシ、クリスチアーノ・ロナウド、そしてエムバペが年末のバロンドールを争うと見られているためだ。だがそんな話題も、エムバペはスルーするに違いない。自分の“その時”はやがて、かならずやって来ると信じているからだ。
いまのところエムバペが苛立つのは、「若いのに」「19歳で」と言われるケースだけ。これだけは我慢できないらしく、誉め言葉でも嫌がるらしい。このため代表のチームメイトは、「ホントは15歳だろ」とからかって怒らせるのを楽しんだという。
いったいエムバペは、これからどんな道筋を描いていくのだろうか。
文●結城麻里
さて、これに比べてぐっと低級な巷の話題はと言えば、「世界王者になったエムバペは、評判が落ちた“転がりネイマール”の扱いについて、難しい立場に追い込まれるのでは?」というもの。だが元パリ・サンジェルマン監督のポール・ルグエンは、「エムバペのインテリジェンスから見て、問題が起こるとすれば、むしろネイマールのほうからだろうね」と予測する。
一方、バロンドールを巡るレースもすでに話題だ。グリエーズマン、エデン・アザール、ケビン・デ・ブルイネ、リオネル・メッシ、クリスチアーノ・ロナウド、そしてエムバペが年末のバロンドールを争うと見られているためだ。だがそんな話題も、エムバペはスルーするに違いない。自分の“その時”はやがて、かならずやって来ると信じているからだ。
いまのところエムバペが苛立つのは、「若いのに」「19歳で」と言われるケースだけ。これだけは我慢できないらしく、誉め言葉でも嫌がるらしい。このため代表のチームメイトは、「ホントは15歳だろ」とからかって怒らせるのを楽しんだという。
いったいエムバペは、これからどんな道筋を描いていくのだろうか。
文●結城麻里