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【ロシアW杯総括】ひと言で言えばドラマチック。日本は最高のエンターテインメントを提供した

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2018年07月04日

ポーランド戦の時間稼ぎは重要な論点ではない

西野監督の采配も大きな話題を呼んだ。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

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 勝てば首位通過もあったポーランド戦でも、西野監督は話題を提供する。セネガル戦から先発6人を入れ替え、システムも4-2-3-1から4-4-2に変更したのだ。しかし、この博打に勝ったとは言えなかった。今大会初先発の岡崎慎司、武藤嘉紀は決定的な仕事ができず、サイドハーフの酒井高徳と宇佐美貴史もいまひとつの出来で、頼みの柴崎も細かいミスが目に付いた。
 
 59分にはセットプレーから先制され、0-1とリードを許してしまう。同時刻にキックオフされたセネガル対コロンビア戦はまだ0-0。このままではグループHから勝ち上がるのはセネガルとコロンビアで、日本はグループリーグ敗退という状況だった。
 
 ところが、しばらくして日本に朗報が届く。74分、コロンビアが1-0とリード。この時点でコロンビアが首位、日本が2位になった。日本は、セネガルと勝点、得失点差、総得点が同じで、直接対決も引き分けたが、退場数と警告数で算出するフェアプレーポイントで彼らより優位に立っていた。
 
 とはいえ、コロンビアが勝つ保証はない。セネガルが追いつけば日本は再び3位に後退してしまう。こうして西野監督は究極の選択を迫られることになる。攻勢に出て引き分けを狙うか、コロンビアの勝利を信じて0-1のまま行くか。指揮官が選択したのは、他力本願だった。
 
 0-1で迎えた83分に投入された長谷部誠はチームメイトに「このままで行く」「イエローカードに気を付けろ」とふたつのメッセージを送る。そして日本は後方でのパス回しにほぼ終始するのだ。敗戦を受け入れての時間稼ぎ。これが西野監督の下した決断だった。
 
 結果的に、この大博打に西野監督は勝つ。「イエローカード2枚」の差でセネガルを上回り、グループの2位を確保したのだ。今振り返れば、32分の川島のスーパーセーブ──カミル・グロシツキのヘッドを右手一本で弾く──も大きかった。あれがなければ、あるいは0-2で負けていた可能性もある。
 
 ポーランド戦では、この時間稼ぎがまたまた話題になる。危険すぎると酷評する海外メディアもあれば、勇気ある決断と評する論調もあり、真っ二つに分かれた印象だった。
 
 個人的な見解を述べさせてもらうなら、あの局面での時間稼ぎは重要な論点ではない。日本に引き分けに持ち込めるだけのパワーがあったと言えば疑問符が付くし、むしろ攻守のバランスを崩して2点目を奪われる可能性のほうが高かったはずだ。
 
 問題はスタメン6人を入れ替えたこと。ターンオーバー制とは聞こえがいいが、そこまで選手層の厚いチームではなかったし、実際、先制されている。0-1という状況を作らなければ他力本願にならなかったはずで、その点で大胆過ぎる選手起用は裏目に出たという印象だ。
 
 一方で、なかなかお目にかかれないシチュエーションに立ち会ったのも事実。ワールドカップという大舞台で、日本があれだけのブーイングを浴びるのは新鮮だった。勝ち抜くためなら手段を選ばない。そういう狡猾さを示せたという点で日本は成長した。あの特大のブーイングははっきり言って心地よかった。
 
 結果的に主力を何人か休ませることができ、余力を残して決勝トーナメントに進めた。これも成長のひとつだろう。本田もこう言っている。
 
「(余力は)フィジカル的なものだけではないとは思います。精神的なところで明らかに違う。というのは、10年大会を経験した選手がまだ何人もいるということが、明らかにビッグアドバンテージ。ただ、その余裕がある状況でチャレンジして(ベルギーに)勝てるかどうか。分が悪いという戦力だと思うので、なのでプラスアルファは必ず要求されるし、そこに果敢に思い切って楽しみながらプレーしたいなと思います」
 
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