「よりハードに、よりコンパクトに、よりスピーディーに。攻守がかみ合うことで、自分たちの持ち味が出せる」（太田監督）。
 
　このスタイルを貫いて激戦の都大会を勝ち抜いた。特に出場権の懸かった国士舘との準決勝では、相手の堅い守備を上手くサイドを使って揺さぶりながら、何度も攻撃を仕掛け、MF三角航平のクロスを上田が鮮やかなワントラップシュートで決めた。その後、相手がロングボールを蹴って、攻勢を強めてきても、内田を中心とした最終ラインのチャレンジ＆カバーによって守備は崩れず、１-０の無失点勝利を収めた。
 
「今年のテーマは『ワンハートフットボール』。心を一つに、仲間のためにサッカーをするように常に言っている」
　昨年、インターハイで屈辱を味わった時から、彼らの『ワンハートフットボール』は始まっていた。全国への憧れでサッカーをするのではない、全国で勝つために戦う。目標がワンランク上がったことで、彼らの心はより結束の方向に向かった。
 
　南関東インターハイは、「簡単に負けないチームになった」と太田監督が感じた手応えを、全力で披露する場となる。昨年の悔しい経験によって、自分たちの意識を変えた晴れ舞台。さらに結束を強め、成長した姿を披露するべく、成立イレブンのモチベーションはさらなる高まりを見せている。

取材・文：安藤隆人（サッカージャーナリスト）

【2014南関東総体photo】東京・成立学園