ペップやシャビのときと異なるファンの反応に「イニエスタの偉大さ」が凝縮されている

カテゴリ:メガクラブ

山本美智子

2018年05月20日

ひとつの時代が終わることを知りながら。

メッシやスアレスらは健在だが、イニエスタの退団によりバルサの「ひとつの時代」が終焉を迎えるのは間違いない。(C)Getty Images

画像を見る

 イニエスタは、タトゥーも入れず、ピアスも開けず、夜遊びもせず、家族との時間をなにより大切にしてきた。トップチームに上がっても、時間があるときはミニエスタディ(バルサBのホームスタジアム)へ後輩たちの試合をふらっと見に行き、自宅のプールにクラブのロゴを描かせるなど、みずからバルサの熱狂的なサポーターであることを公言してきた。そんな素顔のイニエスタを、サポーターは何年もの間見てきたのだ。

 イニエスタが今シーズン限りで退団すると発表してからは、彼がピッチに立つたびに、「Iniesta, quédate(イニエスタ、残って)」のコールが、スタンドから飛んだ。
 
 クラブに残って欲しいというサポーターの叫びは本物だった。だが同時に、彼らはわかっていた。これだけ待って、苦労して手に入れたポジションを、イニエスタ本人が手放そうとしている。その決断が、本人にとって容易なものではなかったことを、ずっとイニエスタを見てきたバルサのサポーターはわかっていた。

 周囲の誘惑に負けることなく、「バルサ」というチームの中盤で生きる道を選んだイニエスタ。重い怪我や強力なライバルとの定位置争いを乗り越え、ようやく自分のものにしたその場所から、彼自身が動こうとしているのだ。

 イニエスタがつねにバルサを愛し、そこで戦うことにこだわり続けてきたからこそ、サポーターは、大きな悲しみを胸に抱えながらも、われらがキャプテンを笑顔で送り出そうとしている。どんなに辛くとも、本人の決断に敬意を示し、彼と彼の家族に最高の未来が待っているように願うことが、サポーターとしてできる最後の務めだと言い聞かせながら。

 バルサのサポーターは、これでひとつの時代が終わると認識している。新たなページを繰るには、イニエスタが去ったあとに残る空洞はあまりにも大きいのだ。

文●山本美智子(フリーランス)
【関連記事】
恐るべしイニエスタの影響力! 「彼のためなら…」 代表監督とスポンサーが躊躇なく日程を変更
去就注目のイニエスタ 「来週発表する。どこに行くかは自分で言いたいんだ」
「バルサは僕と家族にすべてを与えてくれた…」 もう一度読み返しておきたい、イニエスタの退団会見(全文)
【日本代表/W杯23枠のサバイバル】サプライズがあるとすれば、あのMFの落選か
「行くなユウト!」「絶対に残ってくれ!」ガラタサライ戴冠の殊勲者、長友佑都に“2800件の祝福&嘆願”が!

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ