ペップやシャビのときと異なるファンの反応に「イニエスタの偉大さ」が凝縮されている

カテゴリ:メガクラブ

山本美智子

2018年05月20日

セスクは去ったが、イニエスタは耐えた。

イニエスタほどサポーターに愛された選手はいない。退団発表後は、敵地でもたびたび拍手喝采を浴びた。(C)Getty Images

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 5月20日、日曜日。ひとつの伝説が去る。バルセロナのキャプテン、アンドレス・イニエスタが、アスルグラナ(青とエンジ)のユニホームを身にまとい、バルサの選手としてのラストゲームをカンプ・ノウで行なうのだ。

 イニエスタほど、サポーターに愛された選手はいない。どのスタジアムに行っても、スタンドからは「イニエスタ・コール」がかかる。どんなに選手としてクオリティーが高くても、決して敵に塩は送らないバルサの宿敵、レアル・マドリーやエスパニョールのファンでさえ、イニエスタのためには立ち上がり、惜しみない拍手を送るのだ。

 もちろん、バルセロニスタ(バルサのサポーター)にとってのイニエスタが、より特別な存在であることに疑いの余地はない。
 
 イニエスタはつねに謙虚だった。ジョゼップ・グアルディオラのようなカリスマや、シャビのようなリーダーシップを持っていたわけではない。だが、そのプレーヤーとしての才能は、だれもが認めていた。

 本人が「日本か中国へ行く」と明言したいまでも、イニエスタをマンチェスター・シティに獲得したいと公言しているグアルディオラは、まだバルサの選手だった頃、「いつかシャビが私を超える日が来る。だがイニエスタは、そのシャビと私の両方を簡単に超えていくだろう」と、イニエスタ少年のプレーを見て予言していた。

 だが、それほどまでに優れたプレーヤーでありながら、その才能に溺れないイニエスタを、バルサのサポーターは長年に渡って見てきた。

 パスサッカーを基本とするバルサの中盤で、レギュラーポジションを手に入れることがどんなに大変なことか、サポーターはよく知っている。そして実際、イニエスタが下部組織でデビューの日を夢見ていた頃、彼の目の前にはグアルディオラにシャビと、とてつもなく高い壁がそびえ立っていた。

 それを知っていたセスク・ファブレガスは、早々とバルサを去った。イニエスタほどのプレーヤーなら、セスク同様、他のトップレベルのクラブに移籍して、いち早くスターになり、もっと高い年俸を得ることもできただろう。

 だが彼は、そうした道を選ばなかった。そしてイニエスタがバルサで、複数のポジションを便利屋のように使い回されながら耐えている姿を、バルサ・サポーターはずっと見てきた。「常に向上できることがある」と語り、正確なパスを供給するだけでなく、得点力を身につけるために努力している姿を見てきた。
 
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