渡りに船の移籍オペレーション。
攻守の切り替えの遅さにより、「ウイングとしても難がある」と判断したクロップは、その対策としてコウチーニョ仕様のシステムとも言える4-2-3-1を新たに導入。運動量とダイナミズムの少なさが致命傷にならないトップ下のポジションを、ブラジル代表MFに託した。だが新システムは、4-3-3と比べて選手同士の距離感がしっくりこないという点で、クロップ監督にとっては大きな不満となった。
バルサからコウチーニョに対し、6000万ユーロ(約78億円)の獲得オファーが舞い込んだのは、いまからちょうど1年前のことだった。その一報を耳にしたクロップは、当初戸惑いを見せていたという。当時のバルサの前線には、リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの最強トリデンテが君臨しており、そこにコウチーニョの居場所があるとは到底思えなかったからだ。
その後ネイマールが移籍し、その後釜としてウスマンヌ・デンベレを確保したバルサは、続けざまにコウチーニョの獲得に本腰を入れた。その提示額は1億ユーロ(約130億円)以上。クラブのスタッフによると、驚きとも呆れともつかぬ表情で、クロップはこう述べたという。
「コウチーニョは素晴らしいアタッカーだ。でも、4-3-3のインサイドハーフとしての適性はない。ましてやバルサのエルネスト・バルベルデ監督が採用する4-4-2において、中盤インサイドの選手はチーム内でもとりわけ多くの運動量とダイナミズムが求められる。アンドレス・イニエスタが見事にその役割をこなしているのは、彼に長距離ランナーとしての資質があるから。しかし、コウチーニョにはそれがない」
バルサからコウチーニョに対し、6000万ユーロ(約78億円)の獲得オファーが舞い込んだのは、いまからちょうど1年前のことだった。その一報を耳にしたクロップは、当初戸惑いを見せていたという。当時のバルサの前線には、リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの最強トリデンテが君臨しており、そこにコウチーニョの居場所があるとは到底思えなかったからだ。
その後ネイマールが移籍し、その後釜としてウスマンヌ・デンベレを確保したバルサは、続けざまにコウチーニョの獲得に本腰を入れた。その提示額は1億ユーロ(約130億円)以上。クラブのスタッフによると、驚きとも呆れともつかぬ表情で、クロップはこう述べたという。
「コウチーニョは素晴らしいアタッカーだ。でも、4-3-3のインサイドハーフとしての適性はない。ましてやバルサのエルネスト・バルベルデ監督が採用する4-4-2において、中盤インサイドの選手はチーム内でもとりわけ多くの運動量とダイナミズムが求められる。アンドレス・イニエスタが見事にその役割をこなしているのは、彼に長距離ランナーとしての資質があるから。しかし、コウチーニョにはそれがない」
それは今シーズンの結果が証明してもいる。CLグループステージ第5節のセビージャ戦(3-3)、プレミア第5節のバーンリー戦(1-1)と、引き分けるのが精一杯だったこの2試合で、コウチーニョは4-3-3のインサイドハーフとして起用されていたのだ。
この2試合は、クロップにとってはコウチーニョの適性を試す“最終テスト”として位置付けられていた。ここで限界を露呈したことで、クロップの腹は決まった。主にウイングとしてプレーした昨シーズンは、36試合に出場して14得点・9アシストという成績を残していたものの、今シーズンのサラーの圧倒的な活躍ぶり(44得点・16アシスト)を目の当たりにすれば、それさえも霞んでしまう。
右ウイングのポジションを完全にモノにしたこのサラーのブレイクスルーにより、コウチーニョのレギュラーの座はいよいよ危うくなった。そんな最中、バルサから破格のオファーが舞い込み、とんとん拍子で交渉が成立。リバプール首脳陣がほくそ笑む結果となったのである。
しかもチームは、コウチーニョの退団の影響をまるで感じさせることなく、CL決勝に進出するほどの快進撃を見せている。つまりコウチーニョの売却は、リバプールにとって経済面、スポーツ面の両方で、まさに渡りに船のオペレーションだったのだ。
文●ディエゴ・トーレス(エル・パイス紙/海外サッカー担当)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
この2試合は、クロップにとってはコウチーニョの適性を試す“最終テスト”として位置付けられていた。ここで限界を露呈したことで、クロップの腹は決まった。主にウイングとしてプレーした昨シーズンは、36試合に出場して14得点・9アシストという成績を残していたものの、今シーズンのサラーの圧倒的な活躍ぶり(44得点・16アシスト)を目の当たりにすれば、それさえも霞んでしまう。
右ウイングのポジションを完全にモノにしたこのサラーのブレイクスルーにより、コウチーニョのレギュラーの座はいよいよ危うくなった。そんな最中、バルサから破格のオファーが舞い込み、とんとん拍子で交渉が成立。リバプール首脳陣がほくそ笑む結果となったのである。
しかもチームは、コウチーニョの退団の影響をまるで感じさせることなく、CL決勝に進出するほどの快進撃を見せている。つまりコウチーニョの売却は、リバプールにとって経済面、スポーツ面の両方で、まさに渡りに船のオペレーションだったのだ。
文●ディエゴ・トーレス(エル・パイス紙/海外サッカー担当)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。