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相手のワールドクラスを知っていたはずの日本の選手たちは、なぜ心理戦で主導権を握られたのか?

カテゴリ:日本代表

加部 究

2014年06月15日

日本とスペインに共通する、一級品の極限的な凄みに直面して生まれた焦燥。

コートジボワールの凄みを体感することになった日本。警戒心が増すにつれ、全体が後傾する展開に。 (C) SOCCER DIGEST

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 思い出すのは、前日のスペインの崩壊だった。スペインもオランダのFWの威力は十分に知っていた。何人かの日本の選手たちも、コートジボワールの主力とはリーグ戦で顔を合わせている。知ってはいたが、あるいは知っていたからこそ、改めて凄みを体感し焦燥が生まれた。
 
 オランダ戦の後半、スペインの選手たちは、すっかり余裕を失い、得意のボールポゼッションを完全に分断されてしまったが、日本も後半は打開策を見失っていた。ボールを奪いに出ようとしても、コートジボワールに最終ラインから揺さぶられる。中盤では2人で取りに行っても、付け入る隙がなく、次の展開につなげられ、明らかに心身ともに疲弊していった。アディショナルタイムには、ついにザッケローニ監督が「日本にはそういう文化がない」と否定していたパワープレーを選択するしかなくなってしまった。
 
 ザッケローニ監督の采配も、火消しが適わず焦燥に輪をかけることになった。大久保を入れて本田と2トップ気味にしたかと思えば、今度は大久保を左に回して香川を中央へ。不調の香川を87分まで引っ張ったのも疑問だが、切った2枚のカードも大久保、柿谷と同質で、「すべての試みは上手くいかなかった」と本人も認めた。
 
 もともと同質タイプが多いのは、描くサッカーを共有できるという点で長所にもなるが、やはりチームの幅を狭めるという短所にもつながる。有効なオプションが増えなかったのは、ザッケローニ監督が早くからメンバーを固定してしまった弊害とも言えた。高さを放棄するなら、俊敏な打開力、精度のあるレフティーなど、加えておくべき武器は、きっとまだ他にもあった。
 
 前回から4年、多くの日本人選手が欧州に進出し、日本代表の評価も飛躍的に高まった。だが皮肉なことに、高い評価は対戦相手の最大の危機感も引き出した。日本も自信を確立したが、だからこそ一級品の極限的な必死さに直面し、おそらく日常とは別次元の凄みに焦燥した。
 
 まだまだ世界の頂は高い。それを知ったという点では、日本サッカーも次のステップを踏み出したとも言えるかもしれない。

取材・文:加部 究(スポーツライター)
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