【日本代表W杯の軌跡】最後まで貫かれた攻めの姿勢|2010年南アフリカ大会・パラグアイ戦

カテゴリ:日本代表

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年06月12日

PK戦で散るも、地元のファンをも魅了した日本の闘志。

PK戦での駒野の失敗(クロスバー直撃)は悔やまれたが、それ以上にパラグアイのキッカー5人の冷静さが印象的だった。 (C) SOCCER DIGEST

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 65分に疲れが出始めた松井を岡崎慎司と代えたのは、オーソドックスなものだった。しかし殊勝だったのは、ふたり目の交代だ。81分、これまで守備の安定にひと役買ってきた阿部勇樹を下げ、中村憲剛を投入するのだ。0-0の均衡した場面。守備力の低下を考えると、簡単な決断ではなかったはずだ。そこに「リスクを冒してでも、点を取ろう」という岡田監督の強いメッセージが感じられた。
 
 延長戦に突入すると、直後に中村憲が鋭いミドルを放つ。これが攻め合いの合図だった。5分にはバリオスのヘディングがGK川島永嗣の正面を突き、7分のバルデスのシュートは、飛び出した川島が身体で防ぐ。その2分後には本田が無回転FKでパラグアイゴールを脅かす。結局、0-0のまま120分を終え、消耗戦はPK戦へともつれ込んでいった。
 
 パラグアイが4人目まで全員成功させたのに対し、日本は駒野友一が外してしまう。パラグアイの5人目のキッカー、オスカール・カルドーソが決めた瞬間、スタジアムは深いため息に包まれた。決して大げさではない。日本の闘志溢れるプレーは、いつしか地元ファンも魅力していたのだ。
 
 日本の敗退が決まった。しかし、パラグアイに対して負けることのなかったこの120分間で、日本は少なくない財産を手に入れた。
 
 
◆2010年6月29日 プレトリア
日本 0(3PK5)0 パラグアイ
 
【PK戦】
先攻:パラグアイ=E・バレット○、バリオス○、リベーロス○、バルデス○、カルドーソ○
後攻:日本=遠藤○、長谷部○、駒野×、本田○
 
【日本】
GK:川島
DF:駒野、中澤、闘莉王、長友
MF:阿部(81分中村憲)、長谷部、遠藤
FW:松井(65分岡崎)、本田、大久保(106分玉田)
 
【パラグアイ】
GK:ビジャール
DF:ボネット、ダ・シルバ、アルカラス、モレル
MF:オルティゴサ(75分E・バレット)、ベラ、リベーロス
FW:サンタクルス(94分カルドーソ)、バリオス、ベニテス(60分バルデス)
 
 
※週刊サッカーダイジェスト2010年7月20日号より

上段左から阿部、中澤、川島、闘莉王、本田。下段左から長谷部、長友、遠藤、駒野、大久保、松井。 (C) SOCCER DIGEST

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