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【現地発】いまバルサを牛耳るもの…それは独自のアイデンティティーではなくメッシの“目”だ

カテゴリ:メガクラブ

エル・パイス紙

2018年03月30日

ペップやシャビが外部にいるのは偶然ではない。

バルサ独自のアイデンティティーが希薄化。「MES QUE UN CLUB」(クラブ以上の存在)というスローガンも、近年は広告的な意味合いが強く……。(C)Getty Images

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 クラブ内におけるパワーバランスが現場寄りに傾いているのは、昨年10月1日のラス・パルマス戦を無観客で行なった決断でも明らかだ。当日カタルーニャ州の独立の是非を問う住民投票の開催に端を発し、警察と分離独立派との間で激しい衝突が起きた事態を重く見て、バルトメウ会長をはじめとした幹部は試合開催に強い反発を示していた。にも関わらず、現場サイドが押し切る形でラス・パルマス戦は決行されたのだった。

 ただ、結果を最優先するそうした戦略の代償として、長年育まれてきた独自のアイデンティティーが希薄化している点は見逃すべきではないだろう。「クラブ以上の存在」というスローガンも、近年は広告的な意味合いのほうが強くなっているのが現状で、そうした転換期を迎える中でジョゼップ・グアルディオラ、シャビといったバルサ・スタイルの信奉者がカンプ・ノウの外にいるのは決して偶然ではないはずだ。

 本来、イデオロギーの継承を率先して行なうべきスポーツ・ディレクターも、チキ・ベギリスタインの退任(2010年6月)とアンドニ・スビサレータの解任(2015年1月)を境に、便宜上の序列のための役職のひとつといった趣が強くなり、現状では、だれがスポーツ部門の総指揮を担っているのかも定かではない。

 アイデンティティーの希薄化を危惧する声はバルセロニスタの間でも確実に広まっており、クラブ関係者はそうした周囲の反応に対し、ペップ・セグーラを頂点としたピラミッド体制が確立していることを訴える。

 しかし、実際のところ彼らが行なっていることといえば、他のクラブも行なっている有望なタレントの発掘がメインであり、クライフが植え付けた伝統的なスタイルとはかけ離れてしまっている。
 
 結果重視のチーム作りはBチームも同様で、2部残留を大目標に掲げる今シーズンの総投資額は600万ユーロ(約7億8000万円)にも達する。

 そんな最中、今月グレミオのブラジル代表MFアルトゥールの買い取りオプションを確保したことを発表。その権利を行使した場合の移籍金は、3000万ユーロ(約39億円)+インセンティブ900万ユーロ(約11億7000万円)に設定されている。

 かつてカルレス・プジョールが担っていたCBの一角にウンティティが定着し、今シーズン終了後にバルサを退団し、中国リーグへの移籍の可能性があるアンドレス・イニエスタの後継者としてコウチーニョを獲得したのと同様に、長年に渡ってバルサ・スタイルを体現しつづけてきたシャビの後釜探しにおいても、クラブは巨額を投じて外部から人材を求めようとしている。

「バルサのDNAを忠実に継承しつづけるには、戦略的に選手を獲得することが一番だ。それがいま我々が行なっていることでもある。目に見える結果が出るのは時間の問題だろう」

 クラブ関係者はこう反論するが、そんななかカンテラの星として高い期待を寄せられていたふたりの17歳、エリック・ガルシア(→マンチェスター・シティ)とセルヒオ・ゴメス(→ボルシア・ドルトムント)が相次いで退団したのは、クラブのそうした強化方針への不満の表われでもあったはずだ。

 優先されるのは、カンテラ出身の若手の育成よりも、メッシを満足させられるハイレベルな即戦力の確保。いま、メッシの“目”がバルサを牛耳っている。

文●記者:ラモン・ベサ(エル・パイス紙/バルサ番記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています
 
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