現在は静観を決め込んでいるバルサだが…。
昨年8月、ネイマールのバルセロナ退団が決定した直後、ルイス・スアレスとリオネル・メッシのふたりが練習場のあるサン・ジョアン・デスピから自宅のあるカステルデフェルスへ移動する車中は、重苦しい空気に包まれていた。
ウスマンヌ・デンベレの入団は既に確定していたが、スペイン・スーペルコパで宿敵レアル・マドリーに惨敗(2試合合計1-5)を喫していたこともあり、このままバルサが弱体化していくのをふたりは危惧していた。
その後、エルネスト・バルベルデ新監督の卓越した采配により、チームは開幕以来快進撃を披露し、1月にはかねてからターゲットとなっていたフィリッペ・コウチーニョが入団。バルサはふたたび息を吹き返すとともに、スアレスとメッシの心配も杞憂に終わろうとしている。
しかし、チーム状況が落ち着いたいまでも、ふたりがなお獲得を熱望しているアタッカーがいる。他でもないアトレティコ・マドリーのアントワーヌ・グリエーズマンだ。
デンベレのポテンシャルはふたりとも高く評価しているが、なにぶんまだ20歳と若い。いまなお成長過程にあり、バルサ攻撃陣の中核を担うには現状では荷が重いと感じているのだ。
その点でグリエーズマンは、27歳とまさにフットボーラーとしてピークを迎える年齢だ。戦術面でもスペースを突く動き出しを得意としており、年々プレースタイルの“シャビ化”が進むメッシとの相性は抜群。それはクラブ幹部も認めている。
だからこそ、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長はクリスマス前にグリエーズマンの家族と数回に渡りコンタクトを取ったのだ。会長とグリエーズマンが直接メッセージのやり取りをしたこともあり、その時点では獲得を決定づけるムードがフロント内を支配していた。
その一連の動きがアトレティコの逆鱗に触れ、不正に接触したとしてFIFAに訴えられたため、現在は静観を決め込んでいるが、獲得への意欲は一向に衰えていない。グリエーズマンがアトレティコで着けている背番号は7。アルダ・トゥランの退団後、バルサの7番が空き番号になっているのは決して偶然ではないのだ。
ウスマンヌ・デンベレの入団は既に確定していたが、スペイン・スーペルコパで宿敵レアル・マドリーに惨敗(2試合合計1-5)を喫していたこともあり、このままバルサが弱体化していくのをふたりは危惧していた。
その後、エルネスト・バルベルデ新監督の卓越した采配により、チームは開幕以来快進撃を披露し、1月にはかねてからターゲットとなっていたフィリッペ・コウチーニョが入団。バルサはふたたび息を吹き返すとともに、スアレスとメッシの心配も杞憂に終わろうとしている。
しかし、チーム状況が落ち着いたいまでも、ふたりがなお獲得を熱望しているアタッカーがいる。他でもないアトレティコ・マドリーのアントワーヌ・グリエーズマンだ。
デンベレのポテンシャルはふたりとも高く評価しているが、なにぶんまだ20歳と若い。いまなお成長過程にあり、バルサ攻撃陣の中核を担うには現状では荷が重いと感じているのだ。
その点でグリエーズマンは、27歳とまさにフットボーラーとしてピークを迎える年齢だ。戦術面でもスペースを突く動き出しを得意としており、年々プレースタイルの“シャビ化”が進むメッシとの相性は抜群。それはクラブ幹部も認めている。
だからこそ、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長はクリスマス前にグリエーズマンの家族と数回に渡りコンタクトを取ったのだ。会長とグリエーズマンが直接メッセージのやり取りをしたこともあり、その時点では獲得を決定づけるムードがフロント内を支配していた。
その一連の動きがアトレティコの逆鱗に触れ、不正に接触したとしてFIFAに訴えられたため、現在は静観を決め込んでいるが、獲得への意欲は一向に衰えていない。グリエーズマンがアトレティコで着けている背番号は7。アルダ・トゥランの退団後、バルサの7番が空き番号になっているのは決して偶然ではないのだ。
もちろん、アトレティコもこの状況を指をくわえて見守っているわけではない。契約解除金に設定されている1億ユーロは、近年のパフォーマンスと昨今の移籍市場の動向を考えればバーゲン価格と言って良く、ミゲル・アンヘル・ヒル・マリンCEOとディエゴ・シメオネ監督は、エースの流出を阻止するため、あらゆる手段を講じる構えだ。
金銭面においても出し惜しみはせず、今冬のヤニック・カラスコとニコラス・ガイタン(ともに中国の大連一方に移籍)の売却益もまわして、1500万ユーロ(約19億5000万円)前後と言われる現在の手取り年俸を上回る条件を提示する意向だ。また今後は、来シーズンのチャンピオンズ・リーグ決勝がアトレティコの本拠地ワンダ・メトロポリターノで開催される件もちらつかせながら、最後まで粘り強く慰留を続けるだろう。
今シーズン、そうした移籍騒動を背景に、グリエーズマンはファンとも何度か衝突している。リーガ・エスパニョーラ22節のホームのバレンシア戦(ゴールを狙わない消極性に対してファンからブーイングが巻き起こり、グリエーズマンは「黙れ」というジェスチャーで応戦した)で両者の溝の深まりはピークを迎えたが、その後シメオネ監督は、三度に渡ってエースを擁護する発言をしている。
それもすべてはファンとの関係が冷え切ってしまっては、慰留工作も水泡に帰しかねないと危惧したからに他ならない。幸いそうした努力が実り、ファンとの関係も現在は改善されている。
「ファンの声援は大きな励みになる。とても感謝しているよ。シメオネ監督が記者会見で訴えてくれてからは良い関係を築けている」と、グリエーズマン本人も、指揮官の存在が大きな助けになったことを認めている。
メッシやスアレスを中心としたバルサの面々、グリエーズマン、そしてアトレティコ。三者三様の思惑が複雑に絡み合いながら、グリエーズマンの移籍騒動はロシア・ワールドカップまで持ち込まれそうな雲行きだ。
文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス/バルセロナ番記者)、ラディスラオ・J・モニーノ(エル・パイス/アトレティコ番記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
金銭面においても出し惜しみはせず、今冬のヤニック・カラスコとニコラス・ガイタン(ともに中国の大連一方に移籍)の売却益もまわして、1500万ユーロ(約19億5000万円)前後と言われる現在の手取り年俸を上回る条件を提示する意向だ。また今後は、来シーズンのチャンピオンズ・リーグ決勝がアトレティコの本拠地ワンダ・メトロポリターノで開催される件もちらつかせながら、最後まで粘り強く慰留を続けるだろう。
今シーズン、そうした移籍騒動を背景に、グリエーズマンはファンとも何度か衝突している。リーガ・エスパニョーラ22節のホームのバレンシア戦(ゴールを狙わない消極性に対してファンからブーイングが巻き起こり、グリエーズマンは「黙れ」というジェスチャーで応戦した)で両者の溝の深まりはピークを迎えたが、その後シメオネ監督は、三度に渡ってエースを擁護する発言をしている。
それもすべてはファンとの関係が冷え切ってしまっては、慰留工作も水泡に帰しかねないと危惧したからに他ならない。幸いそうした努力が実り、ファンとの関係も現在は改善されている。
「ファンの声援は大きな励みになる。とても感謝しているよ。シメオネ監督が記者会見で訴えてくれてからは良い関係を築けている」と、グリエーズマン本人も、指揮官の存在が大きな助けになったことを認めている。
メッシやスアレスを中心としたバルサの面々、グリエーズマン、そしてアトレティコ。三者三様の思惑が複雑に絡み合いながら、グリエーズマンの移籍騒動はロシア・ワールドカップまで持ち込まれそうな雲行きだ。
文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス/バルセロナ番記者)、ラディスラオ・J・モニーノ(エル・パイス/アトレティコ番記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。