チャナティップの人気、チームに与える存在感は絶大だった。
一年で一番暑い時期とも言われるソンクラーンを控えるタイ。大会初日はどのチームも照り付ける陽射しと湿気から冴えないプレーの連続にがっかりしたのだが、タイ代表対スロバキア代表の対戦となった決勝には、45,425人の観衆が集まり、非常に見応えあるフィナーレを楽しむことが出来た。
大会名の通り、王室者の参列もあり、試合開始前には国王賛歌と国歌がダブルで流れる。そんな名歴に相応しい空気が張り詰めたなかでキックオフとなった。
直前のFIFAランクでは、129位(タイ代表)対29位(スロバキア代表)と、格の違いが明らかな両者の顔合わせ。試合は、精神的な脆さが否めないタイ代表が、2点のビハインドを負うことに。しかし、心折れてもおかしくない展開にも格上相手に臆することなく攻める続ける姿に、チャーンスック(タイ代表の愛称)の成長を感じずにはいられなかった。これも海外組の面々が肌で感じた経験を持ち帰り示した変化の一面なのかもしれない。特にチャナティップの人気はさることながら、彼のチームに与える存在感は絶大だった。
試合スコアは3-2。スロバキア代表が第46回大会を制した。しかし、タイ代表がボールを保持する度に「オイッ!!」とムエタイさながらの掛け声を響かせ、また独自のチャントで自国の選手たちを鼓舞するファンの姿には、ワールドスターを観られなかった淋しさはもうない。
決勝翌日、過激派サポーター集団“ウルトラス・タイランド”が陣取った南側ゴール裏スタンドの椅子が数十個破損するという愛嬌振りまくニュースを目にした。タイ・サッカー協会はまた彼らに悩まされることとなるのだろうが。
決勝戦に先駆け午後4時から行なわれた、ガボン代表対UAE代表の順位決定戦。身体能力を前面に出すフットボールを目の当たりにし、一喜一憂するタイ人ファン、また陽が差し込む擂鉢型陸上競技場を見渡した時、当時はまだ日中に開催されていた90年代のキリンカップを思い出し、妙にノスタルジックな気持ちになった。日本にも開催間際になってスター選手の“ドタキャン”が数多くあった時代である。
多くのスター選手が海外挑戦する時代に突入し、今回は海外チームとのマッチメイクの難しさを経験した。また協会とファンとの関係性の構築なども今後の課題になってくるだろう。話題に事欠かないタイ・サッカー界。今まさに成長局面を突き進んでいる。
取材・文・写真●佐々木裕介
大会名の通り、王室者の参列もあり、試合開始前には国王賛歌と国歌がダブルで流れる。そんな名歴に相応しい空気が張り詰めたなかでキックオフとなった。
直前のFIFAランクでは、129位(タイ代表)対29位(スロバキア代表)と、格の違いが明らかな両者の顔合わせ。試合は、精神的な脆さが否めないタイ代表が、2点のビハインドを負うことに。しかし、心折れてもおかしくない展開にも格上相手に臆することなく攻める続ける姿に、チャーンスック(タイ代表の愛称)の成長を感じずにはいられなかった。これも海外組の面々が肌で感じた経験を持ち帰り示した変化の一面なのかもしれない。特にチャナティップの人気はさることながら、彼のチームに与える存在感は絶大だった。
試合スコアは3-2。スロバキア代表が第46回大会を制した。しかし、タイ代表がボールを保持する度に「オイッ!!」とムエタイさながらの掛け声を響かせ、また独自のチャントで自国の選手たちを鼓舞するファンの姿には、ワールドスターを観られなかった淋しさはもうない。
決勝翌日、過激派サポーター集団“ウルトラス・タイランド”が陣取った南側ゴール裏スタンドの椅子が数十個破損するという愛嬌振りまくニュースを目にした。タイ・サッカー協会はまた彼らに悩まされることとなるのだろうが。
決勝戦に先駆け午後4時から行なわれた、ガボン代表対UAE代表の順位決定戦。身体能力を前面に出すフットボールを目の当たりにし、一喜一憂するタイ人ファン、また陽が差し込む擂鉢型陸上競技場を見渡した時、当時はまだ日中に開催されていた90年代のキリンカップを思い出し、妙にノスタルジックな気持ちになった。日本にも開催間際になってスター選手の“ドタキャン”が数多くあった時代である。
多くのスター選手が海外挑戦する時代に突入し、今回は海外チームとのマッチメイクの難しさを経験した。また協会とファンとの関係性の構築なども今後の課題になってくるだろう。話題に事欠かないタイ・サッカー界。今まさに成長局面を突き進んでいる。
取材・文・写真●佐々木裕介