残されたテストマッチは、事前キャンプ地のアメリカで予定されている２日のコスタリカ戦と、６日のザンビア戦のみ。そこでどれだけコンディションを回復できるかは、キプロス戦を観る限りでは、ちょっと不安だよ。
 
　いずれにしても、キプロス戦の内容を振り返れば、ピークがこのタイミングではないにせよ、ワールドカップで「優勝を目指す」なんて、とても信じられないよ。どこにその根拠を見出せばいいのか。この試合の体たらくがキャンプでの疲れによるものなら、それが取り除かれた時、どれだけ高いパフォーマンスを披露してくれるのかは見ものだね。
 
　ただ、こんな中途半端な試合しかできなかったのは、かえって良かったのかもしれない。自分たちの足もとを見つめ直すきっかけになって、世界との差はまだ大きいと再認識してくれればいい。攻撃的に戦う？　本当にそれでワールドカップで勝てるのか。日本の今の実力を考えるなら、懸命に守り倒してカウンターを狙うほうが、勝利の可能性を高められるんじゃないの？
 
　キプロス戦の内容を踏まえても「このままではダメだ！」という論調があるべきだと思うけど、過保護な日本のメディアにそれを望むのは無理な話だね。なんとか良い部分をすくい上げて、盛り上げようとしている。それはいかがなものか。
 
　勝利に国民が浮かれるのはまだいいとして、メディアもそれに同調しているようでは困る。「内田、決勝点」という記事はあるけど、「香川、柿谷またもや不発」という取り上げ方はほとんどないでしょ。厳しい目を持って、〝評論のプロ〞として成長できれば、サッカー界も本当になにをすべきか気付くはずだよ。
 
　ワールドカップでもし惨敗するようなことがあったら、本音をボカして、売り上げを優先させてきたメディアにもその責任の一端があると思うよ。もしグループリーグで３連敗したら、いったい誰を責めるつもりなのか。ザッケローニ？　それを「今さら」って言うんだよ。
 
　サッカー界を取り巻くすべての人たちに危機感を持ってほしいね。

予選リーグも最後までもつれていたのに、ナビスコ杯の扱いがもったいないよ！
 
　ワールドカップが近づくなか、国内ではナビスコカップの予選リーグが終わり、浦和、神戸、Ｇ大阪、柏の決勝トーナメント進出が決まった。
 
　こういう時期だけに、残念ながらナビスコカップ自体がそこまでニュースになっていない印象がある。予選リーグも最後までもつれていただけに、もったいないよ。
 
　代表戦には人が集まるけど、ナビスコカップの各会場にははたしてどれだけのファンやサポーターが駆けつけていたのか。メディアはもっと集客のための努力をするべきだと思うね。代表選手の誰々の背番号が何番に決まったとか、そんな記事はどうでもいいんだよ。
 
　歴史のある大会だけど、あまりにも興味が持たれないとなると、僕がヤマザキナビスコの幹部だったら、手を引くか、「もうスポンサーを降りる」と脅かすかもしれないね。正直、ヤマザキナビスコが気の毒でならないよ。
 
　これだけ長くスポンサードしてくれる企業に対して、もっとありがたみを感じるべきだ。大会を盛り上げるためにも、多くのサッカー関係者はこれまで以上に一生懸命にならないといけない。本当にスポンサーが離れた時に慌てても、それこそ「今さら」だからね。