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本田圭佑の代表復帰がもたらすプラスアルファ――教訓を知る31歳には"ふたり分の価値"がある

カテゴリ:日本代表

佐藤俊

2018年03月16日

南アフリカで川口らの貢献を知る本田は、チームをひとつにする“まとめ役”を演じられるはずだ

南アフリカW杯に参加した川口は、レギュラー組に気持ち良く戦ってもらおうと陰から支えた。(C)SOCCER DIGEST

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 実際、ザッケローニ監督時代、ワールドカップ1年前、セルビア戦、ベラルーシ戦で遠藤保仁、香川真司らとともに左サイドで作って右サイドとFWで決める従来の攻撃パターンに固執せず、パスを細かくつないで突破する攻撃の構築にトライした。より高みを目指し、自らの判断で戦術的な幅を広げようとしていたのだ。ドリブルなどで局面の打開ができる選手はいてもチームの方向性に変化をつけられる選手は、現チームでは本田しかいない。
 
 ブラジル・ワールドカップでは優れた選手が集まり、いい準備をしたが、最後に自分たちの力を発揮できずに敗れた。その時の教訓を活かすのであれば、ロシア大会ではどんな舞台でも自分のプレーができる本田のような肝の据わった選手が必要になる。

 ある時は戦術をこなし、ある時は戦術を覆す。両面の顔を持てる選手として本田の代表復帰はハリルホジッチにとっては諸刃の剣かもしれないが、それ以上の影響力と力を持っているから今回招集したはず。本田も監督の期待が感じられれば、それを意気に感じて力を発揮するタイプ。ふたりが歩み寄る最後のチャンスの場になるが、うまく折り合えば代表にとって大きな力になる。
 本田の代表復帰はプレー以外の部分でもプラスになる。
 
 2002年日韓大会では32歳の秋田豊と34歳の中山雅史がまとめ役としてチームの雰囲気作りに貢献し、チームはベスト16に進出した。
 
 2010年南アフリカ大会では川口能活が34歳でチームのまとめ役として招集されている。この時は川口と同様に大会前にいきなりスタメンからサブに降格された中村俊輔、楢崎正剛らがチームを支えた。彼らはサブ組としてレギュラー組に気持ち良く戦ってもらおうと悔しさを噛みしめながらサポートした。

 それが分かっていたからこそ本田はカメルーン戦でゴールした時、ベンチに走ったのだ。川口のような役どころは、ワールドカップのような大会では特に必須でそういう選手を招集しなかったドイツ大会、ブラジル大会は惨敗している。
 
 本田は、現在31歳で大会中に32歳になる。年齢的にもキャリア的にその役割を果たすのには申し分ない。本田が試合に出られない状況でも率先してチームのために動けば、「あの本田さんがやっているんだから」という意識が選手に働くだろうし、そうなればチームをより団結させてくれることになる。南アフリカで川口らの貢献を知るだけに試合に出ても、出られない状況でもチームをひとつにするような“まとめ役”を演じられるはずだ。
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