【日本代表W杯の軌跡】手が届かなかった勝点|98年フランス大会・クロアチア戦

カテゴリ:日本代表

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年05月30日

シュケルの一発に沈み、グループ突破は絶望的に…。

すべてが素早く、スムーズに、抜け目なく行なわれたクロアチアの得点場面。本場のしたたかさにしてやられた一戦だった。 (C) SOCCER DIGEST

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 しかし、より得点に近かったのはクロアチアだ。2トップを組んだシュケルとマリオ・スタニッチの連携が悪くて失点にはならなかったが、少ない人数であっという間にゴール前にやってくる。その攻撃は迫力十分で、警戒が必要なことを実感させた。
 
 後半になると両チームともに暑さで疲労し、前半以上の攻防を望むのは酷となった。膠着状態を打開するため、両監督は選手交代に活路を見出す。次々と新鮮な選手がピッチに登場したが、このなかに勝敗を決する働きをした男がいた。67分にロベルト・プロシネツキ代わって登場したシルビオ・マリッチだ。
 
 運動量が衰えた他の選手を尻目に、マリッチは奔放に動き回った。シュケル、ゴラン・ウラオビッチ、そしてこのマリッチ。ときおりアサノビッチが絡み、クロアチアの攻撃はこの4人を中心に行なわれた。日本のミスパスに起因したが、77分の決勝点もやはりアサノビッチ、マリッチが絡み、最後はシュケルが決めたもの。特筆すべきは、チャンスだと判断したアサノビッチの攻撃参加が、この日、一番のスピードに溢れていたことだ。
 
 逆に日本は時間の経過とともに、連携ミスによるパスミスも目立ちはじめ、なかなか形を作れない。1点をリードしてディフェンスをより強固にしたクロアチアから得点を奪うのはもはや至難の業と言えた。
 
 ボールキープで互角の戦いを演じ、惜しいシーンを作り出した。しかし、結果は無得点で敗戦を喫した。勝利するためには得点が必要だが、どうしてもゴールが遠い。『決めるべきところで決める』。言葉にすれば簡単だが、実に難しく困難なことだ。
 
◆1998年6月20日 ナント
日本 0‐1 クロアチア
 
【得点者】
シュケル(77分)
 
【日本】
GK:川口
DF:井原、中西、秋田
MF:名良橋(79分森島)、名波(84分呂比須)、山口、相馬、中田
FW:城、中山(61分岡野)
 
【クロアチア】
GK:ラディッチ
DF:ソルド、スティマッチ(46分ウラオビッチ)、ビリッチ
MF:ユルチッチ、シミッチ、プロシネツキ(67分マリッチ)、アサノビッチ、ヤルニ
FW:スタニッチ(88分トゥドル)、シュケル
 
 
※週刊サッカーダイジェスト1998年7月8日号より

上段左から中山、中西、城、相馬、川口。下段左から名波、名良橋、山口、中田、秋田、井原。 (C) SOCCER DIGEST

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