【現地発】得点嗅覚と凄味を取り戻したバイエルン&ドイツ代表の栄光へのキーマン

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2018年03月09日

「緊張感を高いところで保ち続けるつもりだ」

強化に余念のないドイツ代表。4年前から着実に力を上積みしているが、そのなかで決定的な仕事を果たすミュラーが完調でなければ、連覇は難しいだろう。 (C) Getty Images

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 ミュラーが動いても、そこにパスが来なければ、あるいはそこでボールを奪われては、リズムは作れない。冬の中断期のハードなトレーニングで、本来のコンディションを取り戻し、パスが出てくるタイミングが修正された。
 
 そして、解任されたアンチェロッティの後を受けたユップ・ハインケス監督の下、キャプテンとして全幅の信頼を寄せられていることで、自信を取り戻したことも大きい。
 
 フライブルク戦でも、常に有効な抜け道を探し出した。
 
 相手のボランチが動いてできた中央スペースに、サイドからスッと下がってパスを引き出し、中盤センターで数的優位を作る。
 
 相手を引きつけて起点を作ると、今度はサイドに流れてボールを受け直す。
 
 味方がリズム良くパスを回せるようになると、今度はフライブルクの守備の裏スペースを狙い出す――。
 
 25分の先制ゴールは、そんなミュラーの連続した動きから生まれたものだ。その後も好プレーを続け、チームを勝利に導いた。
 
 この試合に勝ったことで、バイエルンはブンデスリーガで2位シャルケに勝点20差をつけた。このままいけば、今月中にも6シーズン連続の優勝が決まるだろう。
 
 ドイツメディアは、これで緊張感がなくなり、また大事な4月、5月に調子を落としたら大変だ、と騒いでいる。
 
 だが、当のミュラーは涼しい顔。CLベジクタシュ戦後のミックスゾーンで、そのことをドイツ人記者に聞かれると、「それ、よく訊かれるよね。(リーガで)優勝した後に緊張感がなくなってしまうって言うけど、僕らが(2012-13シーズンに)3冠を獲った時はどうだった? 優勝した後、ダメになっていた?」と返す。
 
 ドイツ人記者が言葉に詰まると、「でしょ? もちろん、僕らは緊張感を高いところで保ち続けるつもりだ。油断なんてしない。監督は、僕らをピリッとさせてくれるしね」と答え、上機嫌でミックスゾーンを後にしていった。
 
 バイエルンでのCL優勝、そしてドイツ代表でのワールドカップ連覇へ向けて、チームに違いをもたらすミュラーが、完全復活を果たそうとしている。
 
文:中野 吉之伴
 
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
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