【現地発】マンC戦でのコンテの守備的采配は本当に「アンチ・フットボール」なのか?

カテゴリ:メガクラブ

山中忍

2018年03月06日

コンテが犯した唯一の「罪」は?

最前線に配置されたアザール(右端)までもが自陣に戻る守備的な振る舞いをメディアは批判したが、真っ向勝負を挑んでいたらどうなっていたか……。 (C) Getty Images

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 前節終了時点で、4位トッテナムとの差は2ポイント、3位リバプールとは4ポイント差。両軍とはホームでの対戦を残していることもあり、コンテが、戴冠が秒読みのマンチェスター・Cとの一戦で、今後の戦いにおいて尾を引く可能性もある大敗の回避を最優先にするのも無理はなかった。
 
 仮に真っ向勝負を挑んでいたとして、得点数で30点以上もの差をつけられているマンチェスター・Cに大差で敗れても、その姿勢が勇敢だと称えられることはなかっただろう。王者のプライドではなく、「つまらぬ意地」と言われていたに違い。コンテも試合後、「私はそこまで愚か者ではない」と語っている。
 
 結果的に1ポイントも手にできなかった試合後の報道では、「チームには十分な攻撃タレントもいるはず」「敵地での前回対決では勝っていたはず」といった指摘がされた。しかし、一昨年12月の対戦当時とは、マンチェスター・Cもさることながら、チェルシーもチーム状況は異なる。
 
 前回はプレミアリーグで連勝中だったが、今回は連敗中での一戦だった。ポゼッション集団に対抗するために不可欠なボランチのエヌゴロ・カンテも、病で欠いた。そして、カウンターで傷を負わせるための最大の牙『ジエゴ・コスタ』も……。
 
 エティハド・スタジアムで挙げた昨シーズンの勝利の立役者、D・コスタ(アトレティコ・マドリー)は存在感と決定力、加えて当時の調子でも、今シーズンのモラタとジルーを凌いでいた。
 
 1点のビハインドで劣勢でもあった時間帯に、D・コスタはセスク・ファブレガスのロングパスから同点ゴールを決め、さらに敵の最終ラインにいたニコラス・オタメンディを力で制して逆転ゴールのお膳立てもしている。
 
 今回のエティハドでの対決は、見応えのあるプレミア強豪対決とはほど遠かったのは事実だ。攻撃面で「不戦敗」とも言えるような内容は、結果以上にファンをがっかりもさせた。だからと言って、守戦を選んだコンテが「罪」を犯したとは思えない。
 
 改めてプレミア王者の交代が明確になった一戦で、コンテの「罪」を挙げるとすれば、同じ受け身の姿勢でも、カウンターで勝負に出る戦術の凄みを生み出す獰猛なCFを個人的な仲違いで追い出してしまったことだろうか。
 
文●山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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