【現地発】マンC戦でのコンテの守備的采配は本当に「アンチ・フットボール」なのか?

カテゴリ:メガクラブ

山中忍

2018年03月06日

「恥を知れ」という批判は間違い。

超攻撃的なグアルディオラのマンチェスター・Cに抗戦を挑むべく、コンテが選択したのは守備的な戦術だった。そしてそのチョイスは、各国メディアから叩かれることになった。 (C) Getty Images

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「アンチ・フットボール」
「サッカーに対する罪」
「プレミアにあるまじき戦い方」
 
 現地3月4日、敵地で行なわれたプレミア第29節のマンチェスター・シティ戦(0-1)に敗れたチェルシーは、終始、変わることがなかった消極姿勢をメディアで叩かれた。

 同日にアーセン・ヴェンゲル率いるアーセナルが格下のブライトンに敗れていなければ、翌朝の国内各紙は、ヴェンゲルへの退任要求ではなく、アントニオ・コンテの采配に対する批判が、スポーツの第1面の見出しに躍っていたことだろう。
 
 確かにコンテは、3-5-1システム、実質0トップの守備的な戦法を自軍に授けた。エデン・アザールが最前線を任されたチームの枠内シュートは0本。アルバロ・モラタとオリビエ・ジルーの両CFは、早々にリードを奪われた後半も終盤まで投入されなかった。小柄なアザールが、頭上を越えるロングボールを虚しく見送る姿は、痛々しく見えた。

 
 とはいえ、「恥を知れ」とでも言うかのような批判は如何なものだろうか?
 
 チェルシーが、同じく「0トップ」で臨んだホームでのチャンピオンズ・リーグ(CL)の決勝トーナメント1回戦第1レグのバルセロナ戦(1-1)で、国内メディアがコンテ采配を評価してから2週間と経っていない。

 その試合でも、前半を0−0で終えた時点では、「アザールの無駄遣い」が指摘されたが、後半に守備のミスさえなければ、勝利していた試合後には、メディアの間でも「名采配の一夜まであと一息」と残念がる声が目立った。
 
 今回のマンチェスター・C戦も、自軍のワンチャスをヴィクター・モーゼスが強引かつ不正確なシュートでフイにする一方、相手には計2本の枠内シュートの1本で際どく決着をつけられたと解釈することはできるのではないだろうか?
 
 内容を問題視するメディアの反応には、昨シーズン王者と今シーズンの優勝がほぼ決定的なチームとの一騎打ちに抱いていた期待が裏切られたという感情が窺える。
 
 チェルシーの今の実像はというと、断トツ首位のマンチェスター・Cに25ポイントもの差をつけられ、最低目標のトップ4争いでも苦戦している5位だ。カップ戦決勝などでの対決であれば、「プライドはどこにいった?」と非難されても仕方はないが、チェルシーにすれば、トップ4への浮上を懸けた残る10試合のうちの1戦に過ぎない。
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