もし中国に「カズ」が出現したら…

抜群の決定力、巧みで派手なドリブル、そしてスター性を備えていたカズ。所属チームを強化しただけでなく、その存在でもって人々の目をサッカーに向けさせ、日本サッカー全体に飛躍的な発展をもたらした。 (C) Getty Images
しかし、たったひとりでも、世界的な選手、あるいは中国サッカーを引っ張るカリスマが登場したら、状況は劇的に変わる。
「あの選手のようになりたい」
子どもたちがそう思った瞬間、中国サッカーは変化を遂げる。その熱こそが、推進力になる。何しろ人口は桁外れで、“分母”が多い。体格的には恵まれているし、国内リーグには見本とすべき有力外国人選手が数多くいるのだ。
かつて日本サッカーも、三浦知良というひとりのスターがブラジルからJリーグ開幕を控えて帰国したことで、ぐるりとサッカーの立ち位置が変わった。
ブラジル仕込みのプロ意識と技術。それまでサッカーはマイナースポーツだったが、「カズのようになりたい」という憧れが生まれた。カズがダンスを踊るたび、人々は魅了された。その興奮が熱を帯び、波のようになっていった。
カズの登場は、Jリーグ開幕という時代背景を味方にしていた。それは偶発的に近かったが、何が起こるか分からない。それがサッカーということか。中国に「カズ」が生まれた時――。そのインパクトは計り知れない。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。
「あの選手のようになりたい」
子どもたちがそう思った瞬間、中国サッカーは変化を遂げる。その熱こそが、推進力になる。何しろ人口は桁外れで、“分母”が多い。体格的には恵まれているし、国内リーグには見本とすべき有力外国人選手が数多くいるのだ。
かつて日本サッカーも、三浦知良というひとりのスターがブラジルからJリーグ開幕を控えて帰国したことで、ぐるりとサッカーの立ち位置が変わった。
ブラジル仕込みのプロ意識と技術。それまでサッカーはマイナースポーツだったが、「カズのようになりたい」という憧れが生まれた。カズがダンスを踊るたび、人々は魅了された。その興奮が熱を帯び、波のようになっていった。
カズの登場は、Jリーグ開幕という時代背景を味方にしていた。それは偶発的に近かったが、何が起こるか分からない。それがサッカーということか。中国に「カズ」が生まれた時――。そのインパクトは計り知れない。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。