日本は才能を無駄にしていないか!? 町田・酒井良コーチが見たセルビアの育成事情【後編】

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2018年02月01日

日本の育成年代の蹴る力の不足は、「蹴る回数」の問題。

練習場での酒井氏。大人数で待ち時間の多い練習や受験期に停滞しがちな学校単位での指導には限界があると語る。

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――セルビアでは指導者が選手を大人扱いするわけですね。
 
 そうです。それからもうひとつ、集中力の高さも強く印象に残りました。
 
 一つひとつのメニューをやる時、日本では時に談笑しながらやる光景も見られますが、向こうは私語ゼロ。ものすごい集中力で目の前のメニューに取り組みます。
 
 最初のころ、僕はこの研ぎ澄まされた集中力は「VNでがんばれば、西側に行ける」というモチベーションから来るものだと思っていました。でも、違いました。
 
 セルビアではスケジュールと練習内容にメリハリがあるのです。一日の練習時間は1時間半、適度な人数でやることもあって、毎日1時間半ですべてが身につくシステムになっています。
 
 スケジュールはトップチームと同じで、シーズン終了後の6月は丸々1カ月オフ、前後期の間の12月も完全にオフになります。
 
――サッカー漬けではないので、そのぶん練習への集中力が増すということですね。
 
 そう、自然と集中してしまう仕組みになっています。ですから全体練習の前後に個人練習する選手もいませんよ。
 
――日本では居残りが当たり前ですが。
 
 それがないのです。日本では早朝練習をして、さらに放課後の練習も長々とやるチームが少なくない。都市部では狭いグラウンドに大勢の選手が集まるので、練習中の待ち時間も多く、集中も削がれてしまう。これは大きな違いですね。
 
――日本との違いは他にもありますか。
 
 日本の育成年代を見て、外国人指導者はよく「蹴る力が足りない」と指摘します。これには人工芝が多いからだという声もありますが、単純に蹴る回数が違うと僕は思います。
 
 セルビアでは日本より早い年齢から、どんどんボールを蹴らせていました。日本は豊かでひとりひとつボールがあるので、どうしてもひとりでボールを操ることになる。こうなるとあまり実戦的ではない、小手先のテクニックばかり身についてしまう。
 
 セルビアは貧しいこともあってボールが少ないので、幼いころからとにかく蹴ります。たくさん蹴ると、止める練習にもなる。これも実戦的だと思いました。
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