リバプールはなぜ、コウチーニョ抜きでマンCの無敗記録を止めることができたのか

カテゴリ:メガクラブ

内藤秀明

2018年01月16日

驚異的だったリバプールのアタッカー陣とクロップの戦術眼。

巧みな選手起用を披露したクロップ。その戦術的な采配で、単なるモチベーターではないことを証明してみせた。 (C) Getty Images

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 何より、シティ撃破の要因となったのは、自慢のスピードで瞬時に相手ゴール前へたどり着けるリバプールの快速アタッカーやテクニシャンたちの存在だ。前線からの守備戦術がハマり、高い位置でのボール奪取に成功したことで、大量得点は生まれた。
 
 この日、4-3-3のインサイドハーフで先発出場を果たしたアレックス・チェンバレンは、総額200億円以上もの大金を残してバルセロナへ移籍したフィリッペ・コウチーニョの穴を埋めるべく奮闘した。
 
 そのやる気が顕著に表われたのが、9分の先制点の場面だ。中盤で奪ったボールをドリブルで前線まで運び、ミドルシュートを突き刺したのだ。パスセンスこそコウチーニョに及ばないが、縦への推進力やパンチの利いたキック力は、負けず劣らずのものを見せつけていた。
 
 そして他のアタッカー陣も、それぞれの持ち味をいかんなく見せつけた。
 
 59分に華麗なループシュートを沈めて勝ち越し点を挙げたフィルミーノは、ゴール前での冷静さと、前線からの守備を90分に渡って続けた体力が印象的だった。61分に左足で正確にニア上を射抜いたマネは、ショートカウンターの場面で瞬時にギアを入れ、加速する抜群の走力を披露した。
 
 仕上げとなる4点目を68分に突き刺したサラーは、相手GKのエデルソンがボックス外で犯したミスキックをかっさらうと、40メートル近く離れた位置から無人のゴールに冷静に流し込んだ。
 
 この場面、迷うことなくシュートを選択したエジプト代表MFの判断からは、研ぎ澄まされた得点感覚を昨夏のリバプール移籍以来、着実に伸ばしてきたことが窺い知れた。
 
 そして最後に改めて、リバプールを勝利に導いた指揮官を褒めなければならない。
 
 相手の戦力状況を見抜いたうえで、リスクのある攻撃的な戦術を選択したクロップは、入念に戦術を選手たちへ浸透させただけでなく、ピッチサイドで声を張り続け、個性派揃いのアタッカーたちをとことん走らせた。
 
 クロップがモチベーターとして細かいところまで目を配り、とことん相手の嫌がることをやりきったからこその勝利だと言えた。
 
 無敗の首位チームに、結果だけなく内容でも勝利したリバプール。今後のプレミアリーグやチャンピオンズ・リーグにおいて、彼らと戦うチームは嫌な印象を抱くに違いない。そのことを考えれば、この勝点3の持つ意味は限りなく大きい。
 
文●内藤秀明 text by Hideaki Naito
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