熱がなかったハリル、見返せなかった国内組…E-1選手権とは何だったのか

カテゴリ:日本代表

佐藤俊

2017年12月17日

良い経験、で終わらせてほしくない大会だった。  

今野は「嫌な流れを断ち切れなかった」と韓国戦の敗戦を悔やんだ。(C)SOCCER DIGEST

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 北朝鮮戦、中国戦は結果が出て、そこで活躍した中村航輔、伊東純也、小林悠、今野泰幸らの名前を上げ、ロシアW杯メンバーにつながる期待をハリルは示した。
 
 だが、韓国戦に1-4で敗れると、相手国を賞賛し、「なぜ守備が崩壊したのか分からない」と、敗戦の責任を選手に押し付けるような掌返しを見せた。本来であれば逆転された時点、あるいは1-3で終えた前半が終わった後、しかるべき対応をし、状況を変えることが必要だったが、ハリルはベンチに座り、動かなかった。
 
 こうした監督の言動を見ていると、最初から国内組にはそれほど期待していなかったのではないか。そんな気さえしてしまう。結局は海外組がいないとチームにならない。それを証明したかったのではないかと穿った見方さえできてしまう。それほど、ハリルに熱がなかった。
 
 一方、選手たちも韓国戦は気持ちもプレーも完全に相手にのまれていた。今野は「嫌な流れを断ち切れなかった」と言ったが、試合中に悪い流れを変えるのは、経験がある選手や海外組がいたとしても難しい。ただ、そうだとしてもあまりにも抵抗感がなく、淡泊なプレーが多かった。
 
 そんな選手の姿を見ていると、単純に力負けした部分もあるが、力を出し切れなかった外的な要因も少なからずあったように思える。
 
 たとえば、北朝鮮戦でスタメン出場した金崎夢生は、結果を出すために指示を守るだけではなく自由に動き、それ以降出場するチャンスを与えられなかった。韓国戦後、井手口が「監督の指示通りにやり過ぎた」と反省していたが、監督のルールを守ることに汲々とし、自由にプレーできない環境では個の力を思い切り出すのは難しい。
 
 また、ハリルの日々の言動により、仮にここで結果を出しても結局は海外組が優先され、ロシア大会に行くのとは難しいと察してしまったのかもしれない。そういう空気はチーム内にいれば、容易に感じることができる。ぶらさがっているだろう人参はもうなかったということだ。もしあれば、本当にロシアに行きたいと思うのであれば、もっとがむしゃらに戦う選手が出てきてもおかしくない。
 
 韓国に惨敗し、国内組からの収穫はないという空気になってしまった。試合後、多くの選手が「この悔しさを……」という話をしていた。選手にしか分からない難しい状況があったかもしれないが、優勝すればザックの時のように国内組への見方を変えられたかもしれないし、ロシアへの道も開けたかもしれない。今大会は国内組の選手たちが自分たちの力で国内組ブランドを復活させる最大のチャンスだったのだ。個々の選手にとっては良い経験にはなっただろうが、それだけで終わらせてほしくない大会だった。
 
取材・文●佐藤 俊(スポーツライター)


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