レジェンドの背中が教科書だった――38歳の伝道師・坪井慶介が現役にこだわる理由

カテゴリ:Jリーグ

佐藤亮太

2017年11月23日

現役を続けながら、何かを伝え、残したい。

坪井が浦和加入当初にその背中を見続けた福岡の井原監督。今度は坪井が伝道者として若い世代に“伝える”番だ。(C) SOCCER DIGEST

画像を見る

 坪井は自身に課せられた伝道師たる使命を意識するともに、曺監督のもとで成長したいという純粋な想いを抱き、湘南にやってきた。
 
“何かを伝えたい”この想いに呼応した選手がいる。2020年の東京五輪で活躍が期待されるDF杉岡大暉だ。
 
「リスペクトですか? みんなそうでしょう」と笑った19歳にとって、坪井は憧れの存在。
 
 06年ドイツ・ワールドカップ。小学生の杉岡はピッチを駆ける坪井のプレーを食い入るように見た。そして、奇しくも10年後、チームメイトとなった。
 
「準備もプレーも普段の姿勢もすごい人。一緒にプレーして、周りに安心感を与えるコーチングは参考になった」
 ルーキーながら、杉岡がリーグ37試合に出場できたのは坪井の影響が少なくない。
 
 井原を教科書にした坪井。その坪井を手本にする杉岡。時を越えたDFの系譜が紡がれようとしている。
 
「光栄ですね。そのラインに乗れるよう頑張りたい」杉岡は細い目をさらに細くした。
 
――◆――◆――
 
 今月22日、坪井の退団がクラブから正式に発表された。果たして現役を続けるのか。
 
 この問いに坪井は「ナイショです」とニヤリ。周囲を煙に巻いたが、現役続行の意志は感じられた。
「指導者になって何かを伝えられるかもしれない。けど、現役を続けながら、選手の間近で、そして身近で何かを伝え、残すことも重要かと思う」
 
 何かを伝え、残したい――。
 
 これはJリーグで、アジアで、世界で戦った歴戦の勇士の持つ本能なのかもしれない。
 
 あの日、「じゃあ、また」と交わした握手。次の機会はどこかのグラウンドで、必ず。
 
取材・文●佐藤亮太(レッズプレス!!)

坪井のピッチ内外での振る舞いに、若手も刺激を受けている。来季以降もピッチで何かを伝え、残していくつもりだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

【関連記事】
FC今治でのラストシーズンに懸けた想いの丈を激白! 元日本代表の山田卓也が引退を表明…
湘南が元日本代表・坪井慶介との契約を更新せず…「良いことばかりではなかったですが…」
【FC東京】在籍12年目のベテランDFが“地元”長崎へ完全移籍
【群馬】ラーメン師範の盛田剛平ら3選手と契約せず「ラーメンコラボ第2弾できないのが…」
柴崎岳がいまだ恋しい!? テネリフェSDが「我々にはガクのような選手が必要だ!」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ