プレーできるが、勝負ができない日本勢――ACLで苦戦を続ける理由

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2014年05月08日

ミスの続出は決して偶然ではない。

相手が攻勢に出ると、あっさり主導権を譲り渡し…。FCソウルの圧力に、川崎はいわば屈した。 (C) Getty Images

画像を見る

 セレッソが惨敗した翌日、今度は等々力で川崎が敗れた。
 
 昨年のACL決勝で広州を苦しめたFCソウルに2-3の逆転負け。これも完全な力負けだ。
 
 中村憲剛が試合後、「責めるわけじゃないけど、チームでカバーできるミスとできないミスがある」と語ったように、川崎は3点中2点をディフェンダーのミスから失った。1失点目は中澤聡太、3失点目はジェシ。どちらもお粗末なミスだった。
 
 こうしたミスが続出したのは、決して偶然ではないと思う。
 
 Jリーグの戦術的で技術的なゲームに慣れている日本人は、中国や韓国の重く激しいプレーに対応できない。前半は敵陣でテンポよくパスを回していたが、後半になってソウルが攻めに出てくると、あっさり引いてしまい、主導権を明け渡した。こうなると彼らはかさにかかって攻めてくる。
 
 川崎の選手は、Jリーグの中でも技術レベルが非常に高い。他のチームより敵を近くまで引きつけ、かわす能力を持ったタレントが揃っている。
 
 だが、これはJリーグでの話。ソウルのようなタフなチームが出てくると、テクニックとスピードの優位性を生かせなくなってしまう。せっかくのテクニックも、厳しいプレッシャーの中で発揮できなければ意味がない。
 
 試合後、風間八宏監督は「流れはつかんでいた。結果だけがついてこなかった」と語ったが、強がりだろう。
 
 セレッソと違い、こちらは1点差の敗北。ベスト8への道が断たれたわけではない。だが、自分たちの土俵で良い試合をできなかったチームが、敵の土俵で逆転するのは難しい。
 
 ACLはレフェリーの質が低く、61分のレナトのPKは疑問の残る判定だった。これに味をしめたレナトはその後もPKをもらいにいき、チャ・ドゥリの怒りを買っていた。来週水曜日に行なわれるアウェーゲームでは、韓国人が同じことを仕掛けてくるはずだ。
 
 プレーできるが、勝負ができない日本勢。
 
 日本人はサッカーを戦術とテクニックばかりで語ろうとするが、このサッカー観が変わらなければ、アジアの王座を奪い返すことは難しいかもしれない。
 
取材・文:熊崎敬
【関連記事】
止まらない湘南ベルマーレの快進撃 J2新記録・開幕10連勝の原動力は「矢のようなスプリント」
J2タイ記録の開幕8連勝! 「Jリーグ版チリ代表」湘南ベルマーレが貫く信念と覚悟
【2014 J1結果・採点|10節】仙台対川崎
長谷川アーリアジャスールに欧州から熱い視線が! ディ・マルツィオが紹介
【セルジオ越後の天国と地獄】貫録や意気込みが感じられなかった日本勢

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ