手にした経験値を活かすも殺すもハリルホジッチ次第だ。
日本にとって悔やまれるのは、40分に井手口陽介のFKから生まれた吉田麻也のヘディングシュートがクロスバーの上に外れた場面だ。
各大陸の強豪が集うワールドカップでは、ワンプレー、ワンチャンスが勝負を決める可能性があり、ひとつのミスに対する重要度が増す。そう考えれば、吉田はヘディングシュートを決めなければいけなかった。
吉田は本職の守備での応対やビルドアップの場面でも、やや危ういところが目に付いた。サウサンプトンでも証明している通り、彼は確かに巧い。しかし、その技術力を見せようとし過ぎるきらいがある。より重要な試合で致命的なミスをしないためにも、そのクセを修正するべきだ。
私には日本が“負けないため”の戦いをしているように見えた。チームの組織力向上を優先したヴァイッド・ハリルホジッチ監督の選択を責めるつもりはないが、世界が勝つためには、得点への意欲をもっと示すべきだったように思う。その点は、本大会までの半年間できちんと指揮官が手綱を引いて、チームに求めていくべきだろう。
日本はこの11月のインターナショナルマッチウイークを2連敗で終えた。ともに世界屈指の強豪が相手だったことを考えれば、繰り返しにはなるが、日本は健闘したと言える。
世界最高峰のリーグで戦うプレーヤーたちと、コンディションが整っているこの時期に対戦できたことは、今後、日本にとってポジティブに働くに違いない。とりわけJリーグでプレーする選手たちにとっては、重要なテストの場になったはずだ。
今後、日本が高みを目ざしていくうえで鍵となりうるのは、ベルギー戦でも先発11人のうち7人が顔を揃えた欧州組だ。今回は招集外だった本田圭佑や香川真司、岡崎慎司を含め、彼らの存在は日本を救うと私は思っている。
ベルギーの先発メンバーに国内組がひとりもいなかったことを考えても、海外で身を削ることはやはり重要だと思う。井手口や長澤など先発として起用された若手・中堅のJリーガーが海外への意欲を高めていけば、日本はますます面白くなるだろう。
サムライブルーの戦士たちが得たであろう感覚を活かすも殺すも、あとは指揮官の手腕にかかっている。はたして、ハリルホジッチ監督はチームにどんな色付けをしていくのか。私は引き続き、注目しようと思う。
取材・文:スティーブ・マッケンジー
【著者プロフィール】
STEVE MACKENZIE/1968年6月7日、ロンドンに生まれる。ウェストハムとサウサンプトンのユースチームでプレー。ウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝いた。
各大陸の強豪が集うワールドカップでは、ワンプレー、ワンチャンスが勝負を決める可能性があり、ひとつのミスに対する重要度が増す。そう考えれば、吉田はヘディングシュートを決めなければいけなかった。
吉田は本職の守備での応対やビルドアップの場面でも、やや危ういところが目に付いた。サウサンプトンでも証明している通り、彼は確かに巧い。しかし、その技術力を見せようとし過ぎるきらいがある。より重要な試合で致命的なミスをしないためにも、そのクセを修正するべきだ。
私には日本が“負けないため”の戦いをしているように見えた。チームの組織力向上を優先したヴァイッド・ハリルホジッチ監督の選択を責めるつもりはないが、世界が勝つためには、得点への意欲をもっと示すべきだったように思う。その点は、本大会までの半年間できちんと指揮官が手綱を引いて、チームに求めていくべきだろう。
日本はこの11月のインターナショナルマッチウイークを2連敗で終えた。ともに世界屈指の強豪が相手だったことを考えれば、繰り返しにはなるが、日本は健闘したと言える。
世界最高峰のリーグで戦うプレーヤーたちと、コンディションが整っているこの時期に対戦できたことは、今後、日本にとってポジティブに働くに違いない。とりわけJリーグでプレーする選手たちにとっては、重要なテストの場になったはずだ。
今後、日本が高みを目ざしていくうえで鍵となりうるのは、ベルギー戦でも先発11人のうち7人が顔を揃えた欧州組だ。今回は招集外だった本田圭佑や香川真司、岡崎慎司を含め、彼らの存在は日本を救うと私は思っている。
ベルギーの先発メンバーに国内組がひとりもいなかったことを考えても、海外で身を削ることはやはり重要だと思う。井手口や長澤など先発として起用された若手・中堅のJリーガーが海外への意欲を高めていけば、日本はますます面白くなるだろう。
サムライブルーの戦士たちが得たであろう感覚を活かすも殺すも、あとは指揮官の手腕にかかっている。はたして、ハリルホジッチ監督はチームにどんな色付けをしていくのか。私は引き続き、注目しようと思う。
取材・文:スティーブ・マッケンジー
【著者プロフィール】
STEVE MACKENZIE/1968年6月7日、ロンドンに生まれる。ウェストハムとサウサンプトンのユースチームでプレー。ウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝いた。