主力の負傷離脱も、全員のハードワークでカバー。
一方で、最大の懸念箇所であったCBには、「高さがないぶん、ラインコントロールで勝負をする」と髙田監督が言うように、ラインコントロールの上手さを重視したメンバーを配置。リーグ開幕前は、判断力に優れた173センチの笹沼孔明をCBの軸にして、本来はボランチでカバーリングに優れた168センチの加藤直生とコンビを組ませた。このコンビがはまり、開幕前のマリノスカップなどでは、積極的なラインアップを繰り返すことで、両SBの攻撃力も引き出し、前への推進力を活かした戦いができていた。
しかし、開幕直前に笹沼と森が負傷離脱を強いられてしまう。守備の要とサイドの起点となる選手が離脱する事態に見舞われたが、この危機的状況で抜擢された選手が期待に応える活躍を見せた。
CBにはこれまでSBやボランチをこなしてきた172センチの大橋祐太朗を起用。「彼には瞬間的なスピードがある。ビルドアップは問題ないし、左利きという魅力があるので起用したら、上手くはまってくれた」(髙田監督)と、自らの長所を活かしたプレーと、加藤とのスムーズな連係で安定したラインコントロールを見せた。
そして森が離脱した左サイドでは、縦への推進力が高いMF澤居道と、キープ力の高い2年生MFの北野晴矢が躍動した。ともに献身性が高く、運動量のある選手たちで、澤居は1節の富山一戦で途中出場ながら1アシストを記録。2節の京都U-18戦ではスタメン起用されると、2点目のゴールを叩き出した。
一方の北野は、梶山がU-16日本代表合宿で不在の3節・神戸U-18戦で、左サイドハーフではなくFWとして起用され、中盤の高い位置でタメを作り、神戸U-18の守備陣を苦しめた。これには指揮官も「怪我の功名ですね」と笑顔を見せたが、抜擢された3人がチームの危機を救い、チーム力の底上げに貢献したことは言うまでもない。
森は夏まで長引きそうだが、4節からは笹沼が復帰しそうだ。明るいニュースは無敗のチームにどんな刺激を与えてくれるのか。
「穴だと思っていた守備がこんなに上手くいくとは。CBも頻繁にラインアップをしてくれているからこそ、SBも攻撃参加ができるし、前線も高い位置で勝負できる。なにより全員がハードワークをしてくれているのが大きい。昨年のチームの方がタレントは多かったけど、苦しい時に頑張りきれない一面もあった。今年はそれができている。本当に選手に助けられている」
髙田監督はこう語るが、選手たちが迷いなくプレーできるのは、指揮官の戦い方に明確な方向性があればこそだろう。上背がないぶん、カバーリングとラインアップ、ハードワークで守備を構築し、前線も流動的に動きながらも、プレッシングを怠らない。自分たちがやるべきことに迷いがないからこそ、結果がついてきている。
これから先、ここまでできていることをどこまで貫けるか。どこまで自分たちを信じ抜けるか。課題をチーム全体でカバーし、躍進を続ける名古屋の今後の戦いに注目だ。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
しかし、開幕直前に笹沼と森が負傷離脱を強いられてしまう。守備の要とサイドの起点となる選手が離脱する事態に見舞われたが、この危機的状況で抜擢された選手が期待に応える活躍を見せた。
CBにはこれまでSBやボランチをこなしてきた172センチの大橋祐太朗を起用。「彼には瞬間的なスピードがある。ビルドアップは問題ないし、左利きという魅力があるので起用したら、上手くはまってくれた」(髙田監督)と、自らの長所を活かしたプレーと、加藤とのスムーズな連係で安定したラインコントロールを見せた。
そして森が離脱した左サイドでは、縦への推進力が高いMF澤居道と、キープ力の高い2年生MFの北野晴矢が躍動した。ともに献身性が高く、運動量のある選手たちで、澤居は1節の富山一戦で途中出場ながら1アシストを記録。2節の京都U-18戦ではスタメン起用されると、2点目のゴールを叩き出した。
一方の北野は、梶山がU-16日本代表合宿で不在の3節・神戸U-18戦で、左サイドハーフではなくFWとして起用され、中盤の高い位置でタメを作り、神戸U-18の守備陣を苦しめた。これには指揮官も「怪我の功名ですね」と笑顔を見せたが、抜擢された3人がチームの危機を救い、チーム力の底上げに貢献したことは言うまでもない。
森は夏まで長引きそうだが、4節からは笹沼が復帰しそうだ。明るいニュースは無敗のチームにどんな刺激を与えてくれるのか。
「穴だと思っていた守備がこんなに上手くいくとは。CBも頻繁にラインアップをしてくれているからこそ、SBも攻撃参加ができるし、前線も高い位置で勝負できる。なにより全員がハードワークをしてくれているのが大きい。昨年のチームの方がタレントは多かったけど、苦しい時に頑張りきれない一面もあった。今年はそれができている。本当に選手に助けられている」
髙田監督はこう語るが、選手たちが迷いなくプレーできるのは、指揮官の戦い方に明確な方向性があればこそだろう。上背がないぶん、カバーリングとラインアップ、ハードワークで守備を構築し、前線も流動的に動きながらも、プレッシングを怠らない。自分たちがやるべきことに迷いがないからこそ、結果がついてきている。
これから先、ここまでできていることをどこまで貫けるか。どこまで自分たちを信じ抜けるか。課題をチーム全体でカバーし、躍進を続ける名古屋の今後の戦いに注目だ。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)