「だいたい思い描いていた通り。行っても10点くらいかなと」
「ここまでの(ファンマの)出来は、だいたい思い描いていた通り。行っても10点くらいかなと。彼は二桁取ったシーズンがあまりないんですよ。データは嘘を付かない」
高木監督のインプレッションだ。確かにファンマはゴールを量産するタイプではない。キャリアの中でシーズン二桁得点を奪ったのは、スペイン3部時代と、2015-16シーズンにハーツで記録した12得点の二度だけだ。それでも指揮官は、彼をチームに迎えると決めた。なぜか。
「とにかく巧さのある選手。ハマれば点も取ってくれるかなと思ってましたが、むしろ彼を活かしながらシャドーがゴールを奪えるだろうと考えてました。実際にそうなってますよね。得点源がひとつしかないと、抑え込まれた時に厳しくなる。それではJ2は勝ち抜けない。ファンマのボールの収め方は、なかなか日本人にはないもので、細かいところも本当に巧いんですよ」
オフに新助っ人を物色するなかで、高木監督はターゲットマンとなれる大型のストライカーをリストアップした。いくつかの選択肢が浮上するなかで、絞り込んだのがオランダ人とスペイン人の2選手。「ただ大きいだけの選手であれば、日本のディフェンダーはむしろ得意というか、上手く対応できるんですよ。オランダ人はそれこそかなりの長身でしたけど、僕が求めているタイプではなかった」。そしてもうひとつの選択肢であるファンマに、白羽の矢が立った。
「ムルシアでのプレーを日本にいながらリアルタイムで観て、かつハーツ時代のも含めて10試合くらいはチェックしましたね。目を見張ったのは、そのディフェンス。どの試合でも本当によくディフェンスをしていた。で、実際に現地で試合を観たら、やはりそこが素晴らしい。加えて足下の巧さがある。獲ろうと決めましたね」
とはいえシーズン前は、懸念事項があったという。
「やっぱり彼自身、アジアが初めてだった。夏の蒸し暑さが大丈夫なのかなというところと、日本に来た1月の時点ですでに半年プレーしていたから、最終的には1シーズン半を休みなく働くことになる。体力がどこまで持つのかなと。実際に夏に少し落ちて、怪我もあったりで休んだりしながらここまで来た。実質、1年くらいの感じですかね(笑)」
分かりやすいロールモデルはチェルシーに籍を置くスペイン代表FWだ。
「うちと同じシステムというのもあって、選手たちにはよくチェルシーの映像を見せるんですけど、とくにファンマには『彼のようにプレーしてくれよ』と、ジエゴ・コスタの話をよくしました。したら、ファンマも自分のイメージに合うからよく観ていると言ってましたね。ファンマの身体は本当に凄い。僕の現役時代? いやいや、ぜんぜん彼のほうが強いですよ。ぶつかったらさぞかし痛いんだろうって思いますから」
ファンにどんなプレーを観てほしいかとファンマに尋ねると、「持ち味というより、全力でのプレー。チームに貢献するところを観てほしい。そのうえで、ゴールという結果が付いてくると最高だね」と、笑顔で答えてくれた。
指揮官と厚い絆で結ばれる前線の核は、V・ファーレンを悲願の1部昇格へと導く水先案内人となれるか。残り4試合、この“ビッグウォール”から目が離せない。
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)
高木監督のインプレッションだ。確かにファンマはゴールを量産するタイプではない。キャリアの中でシーズン二桁得点を奪ったのは、スペイン3部時代と、2015-16シーズンにハーツで記録した12得点の二度だけだ。それでも指揮官は、彼をチームに迎えると決めた。なぜか。
「とにかく巧さのある選手。ハマれば点も取ってくれるかなと思ってましたが、むしろ彼を活かしながらシャドーがゴールを奪えるだろうと考えてました。実際にそうなってますよね。得点源がひとつしかないと、抑え込まれた時に厳しくなる。それではJ2は勝ち抜けない。ファンマのボールの収め方は、なかなか日本人にはないもので、細かいところも本当に巧いんですよ」
オフに新助っ人を物色するなかで、高木監督はターゲットマンとなれる大型のストライカーをリストアップした。いくつかの選択肢が浮上するなかで、絞り込んだのがオランダ人とスペイン人の2選手。「ただ大きいだけの選手であれば、日本のディフェンダーはむしろ得意というか、上手く対応できるんですよ。オランダ人はそれこそかなりの長身でしたけど、僕が求めているタイプではなかった」。そしてもうひとつの選択肢であるファンマに、白羽の矢が立った。
「ムルシアでのプレーを日本にいながらリアルタイムで観て、かつハーツ時代のも含めて10試合くらいはチェックしましたね。目を見張ったのは、そのディフェンス。どの試合でも本当によくディフェンスをしていた。で、実際に現地で試合を観たら、やはりそこが素晴らしい。加えて足下の巧さがある。獲ろうと決めましたね」
とはいえシーズン前は、懸念事項があったという。
「やっぱり彼自身、アジアが初めてだった。夏の蒸し暑さが大丈夫なのかなというところと、日本に来た1月の時点ですでに半年プレーしていたから、最終的には1シーズン半を休みなく働くことになる。体力がどこまで持つのかなと。実際に夏に少し落ちて、怪我もあったりで休んだりしながらここまで来た。実質、1年くらいの感じですかね(笑)」
分かりやすいロールモデルはチェルシーに籍を置くスペイン代表FWだ。
「うちと同じシステムというのもあって、選手たちにはよくチェルシーの映像を見せるんですけど、とくにファンマには『彼のようにプレーしてくれよ』と、ジエゴ・コスタの話をよくしました。したら、ファンマも自分のイメージに合うからよく観ていると言ってましたね。ファンマの身体は本当に凄い。僕の現役時代? いやいや、ぜんぜん彼のほうが強いですよ。ぶつかったらさぞかし痛いんだろうって思いますから」
ファンにどんなプレーを観てほしいかとファンマに尋ねると、「持ち味というより、全力でのプレー。チームに貢献するところを観てほしい。そのうえで、ゴールという結果が付いてくると最高だね」と、笑顔で答えてくれた。
指揮官と厚い絆で結ばれる前線の核は、V・ファーレンを悲願の1部昇格へと導く水先案内人となれるか。残り4試合、この“ビッグウォール”から目が離せない。
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)