• トップ
  • ニュース一覧
  • 【現地発】運からもゴールからも見放されたケルン…今こそ“解放者”大迫の真価が問われる!

【現地発】運からもゴールからも見放されたケルン…今こそ“解放者”大迫の真価が問われる!

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2017年10月19日

ポジティブに、ポジティブに――

モデストという最良のパートナーを失った大迫だが、攻撃の核として、周囲を動かし、利用しながら、ゴールという結果を出さなければならない。大変な役割だが、彼にはそれが可能だとクラブもファンも確信している。 (C) Getty Images

画像を見る

 モデストの穴を埋めるため、ケルンはマインツからコロンビア代表FWジョン・コルドバを補強したが、そもそもコルドバはマインツでも、そこまでゴールを量産していたわけではない。
 
 驚異的なフィジカル能力を活かしたキープ力とボールを前に運ぶ推進力は素晴らしいが、51試合で10得点という数字は、レギュラーFWとしては物足りない。
 
 元同僚のダニー・ラッツァも、コルドバのチームへの貢献を認めながらも、「『僕らのストライカーだ!』と言えるかというと、それほどのゴールを決めたわけではない」と、『ビルト』紙に語っている。それどころか、新天地でのプレーにまだ馴染んではおらず、持ち味のキープ力や突破力も影を潜めている。
 
 そこでクラブは、大迫に期待を寄せているが、こちらもそれに応えられるだけのプレーがまだできていない。シュツットガルト戦でも、前半に2つの好機を得たが、最初のチャンスでは枠を捉え切れず、2つ目は相手GKのセーブに阻まれた。
 
 チーム状況が良くないと、自分が決めなければ、という思いが強くなり、力が入りすぎてしまうことがよくある。また、シュートチャンス自体が少ないという事情もある。
 
 大迫がせっかくボールをキープして展開しても、そこからバックパスで、また組み立てからやり直し、というシーンを目にすることも少なくない。チーム事情で、ボランチでのプレーを余儀なくされることもある。
 
 1試合勝てば、状況もチーム内外の空気も変わってくるだろう。そうすれば、様々なことが好転し、チャンスの数も増えるだろうし、これまで決まらなかったシュートが決まるようになったりもするはずだ。
 
 だが、今の大迫に、その時を待つことは許されない。主軸のひとりとして、チームを“解放”するためのゴールを決めることが求められているのだから。
 
 どんな状況でも、大迫はチームのために走り、身体を張り、戦い続ける。だから、チームメイトからも、監督からも、高い信頼を得ている。
 
 では、今のケルンに一番必要なプレーとはなんだろうか。それは、困難な状況を打破し、相手のイメージを凌駕し、時に意外性のあるプレーで違いを生み出し、ゴールへの道を作り出すことだ。
 
「ポジティブに、ポジティブに。こういう時こそ。また、チャンスが来たら、しっかりと決めるようにするだけです」
 
 シュツットガルト戦後に紡ぎ出した言葉。大迫のゴールがクラブを救ってくれることを、ケルンのファンたちは待ち望んでいる。
 
文:中野 吉之伴
 
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
【関連記事】
ケルン、大迫出場予定のELで浮上のきっかけを掴めるか!? 指揮官は「嘆きの旅にはしない」
モウリーニョとコンテが舌戦!「泣いてばかり」発言に「自分のチームのことを考えろ」と反論
クロアチアに仰天プラン! W杯プレーオフ突破ならアンチェロッティを招聘?
CL初勝利! 民泊で“嫌われ者”RBライプツィヒのリアルな地元評を聞いてみた
【現地発】識者が語る「監督ジダン」の凄み。采配100試合で7タイトルはなぜ可能に?
「キャリア最強の相手だった」グアルディオラがナポリに感服
CL最年少出場で「決勝点をプレゼント」…ベンフィカ守護神がそれでも大物感を漂わせる

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ