「メノッティ派?or ビラルド派?」大国も揺れ動く強化の指針。日本サッカーの選択は?

カテゴリ:連載・コラム

加部 究

2017年10月13日

日本では代表監督が「フラットスリー」と言えば、少年団までが3バックに染まる。

W杯最終予選の豪州戦は、日本はポゼッションサッカーを展開する豪州を、ハイプレスとカウンターを駆使して凌駕した。写真:田中研治

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 逆に今、対照的な道を歩んでいるのがオーストラリアである。2005年オランダで開催されたU-20ワールドカップで対日本戦を見た。試合前のウォームアップを見る限り、技術の精度には雲泥の差があったが、結果は引き分けだった。だが、現在オーストラリア代表を指揮するアンジェ・ポステコグルー監督は、技術を高める前に短絡的にフィジカルの強さで勝負してきた伝統を危惧したのだろう。「それが我々の哲学だから」と、徹底してポゼッションにこだわった。
 
 まるでオールトラリアの選手たちは、敢えて最難題に取り組んでいるかのようだった。大柄でお世辞にも器用とは言えない選手たちが、空中戦縛りでもしているかのように丁寧につなぎ続ける。ティム・ケイヒルやトミ・ユリッチを送り込み、パワープレーに走った方が効果的なのは指揮官も分かっていたはずだが、それではアジアで勝てても、その先の展望が開けない。なんだか日豪の監督を入れ替えれば、どちらも適任という印象の不思議な試合だった。
 
 幸か不幸か、日本では代表チームの影響力が甚大だ。フィリップ・トルシエが「フラットスリー」と言えば、即座に少年団まで3バックに染まる。ハリルが「デュエル」「速いカウンター」を唱えれば、全国の指導者もなぞるかもしれない。だからこそ技術委員長は、明解な道標を示す必要がある。結果を出すための微調整は分かるが、やはりドイツやチリの成功を見れば、一貫性の効果は顕著だ。

文:加部究(スポーツライター)
※『サッカーダイジェスト』2017年9月28日号(9月14日発売)より抜粋。
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