強いチームは臨機応変さを必ず備えている。
守備面で言えば、実は一週間のトレーニングで用意してきたものとの相違があった。浦和のメンバーの組み合わせが予想と違っており、「こちらがプレッシャーを掛けたい場所がズレた」のが正直な話だ。
もちろん、ハマらなかった場合の次善策は選手たちに授けてある。基本的な策が3つあるとして、それはトレーニングで落とし込んでおく。このゲームで素晴らしいと感じたのは、4つ目の策へと選手たちが自ら判断して移行したことだ。
「こっちのサイドでハメられる」、「ここまで運ばれたらラインを下げよう」といった修正を選手たちの肌感覚で施していた。この対応力は一朝一夕では身に付かない。積み重ねることで引き出しが増加するのだ。
事前の準備と違ったという経験は、実は似たことが鳥栖戦の時にあった。その際には権田(修一)君の治療時間に選手たちを集めてマグネットを使って説明ができた。「準備したきたことでこういう風にやりたかったが、ハマらないから変えるぞ」と。
それを今回は前半の途中から選手たちが自分たちの肌感覚で修正したので、ハーフタイムにそれを整理して、改めて送り出した。今季は選手の“自立”を掲げているが、強いチームは臨機応変さを必ず備えている。うちも少しずつその成長を感じられるのは嬉しいことだ。
少し話が逸れるかもしれないが、(野沢)拓也の技術と意外性が生きるようになったのはチームの全体像、プレーモデルを確立しつつあるからだと思っている。最初から「自由にやっていいよ」は自由ではなく、単に秩序がない状態を生み出してしまう。
だからこそ、チームの約束事やプレー原則を全員が理解して動く必要がある。そこがハッキリしたからこそ、自由度の高い、アイデアの溢れる選手が生きるし、だからこそ相手の守備網を混乱させることができる。
これは守備でも同様だ。原則を理解し、立ち返る場所があるからこそ、変化を怖れずに戦える。最初から「自立」、「対応力」を求めていた部分もあったが、粘り強く作り上げた骨格がなければダメなのだ。
浦和戦後、選手たちには「惜しかった」ではなく「本気で悔しがれ」と伝えた。この試合を勝つか、負けるかで見ることのできる景色や掴み取れるものが違ったのだから、そこでの敗戦の意味を感じてほしかった。
そして月曜日からは完璧に切り替える。次の目標はルヴァンカップ準決勝の2試合トータルで川崎に勝つこと。鹿島戦での成功体験を自信に変えて、180分で決勝進出を掴みたい。
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は10月14日に行なわれる29節・川崎戦の予定。お楽しみに!
【仙台2-3浦和 PHOTO】興梠が今季19得点となる2ゴールを奪い4試合ぶりの勝利!
もちろん、ハマらなかった場合の次善策は選手たちに授けてある。基本的な策が3つあるとして、それはトレーニングで落とし込んでおく。このゲームで素晴らしいと感じたのは、4つ目の策へと選手たちが自ら判断して移行したことだ。
「こっちのサイドでハメられる」、「ここまで運ばれたらラインを下げよう」といった修正を選手たちの肌感覚で施していた。この対応力は一朝一夕では身に付かない。積み重ねることで引き出しが増加するのだ。
事前の準備と違ったという経験は、実は似たことが鳥栖戦の時にあった。その際には権田(修一)君の治療時間に選手たちを集めてマグネットを使って説明ができた。「準備したきたことでこういう風にやりたかったが、ハマらないから変えるぞ」と。
それを今回は前半の途中から選手たちが自分たちの肌感覚で修正したので、ハーフタイムにそれを整理して、改めて送り出した。今季は選手の“自立”を掲げているが、強いチームは臨機応変さを必ず備えている。うちも少しずつその成長を感じられるのは嬉しいことだ。
少し話が逸れるかもしれないが、(野沢)拓也の技術と意外性が生きるようになったのはチームの全体像、プレーモデルを確立しつつあるからだと思っている。最初から「自由にやっていいよ」は自由ではなく、単に秩序がない状態を生み出してしまう。
だからこそ、チームの約束事やプレー原則を全員が理解して動く必要がある。そこがハッキリしたからこそ、自由度の高い、アイデアの溢れる選手が生きるし、だからこそ相手の守備網を混乱させることができる。
これは守備でも同様だ。原則を理解し、立ち返る場所があるからこそ、変化を怖れずに戦える。最初から「自立」、「対応力」を求めていた部分もあったが、粘り強く作り上げた骨格がなければダメなのだ。
浦和戦後、選手たちには「惜しかった」ではなく「本気で悔しがれ」と伝えた。この試合を勝つか、負けるかで見ることのできる景色や掴み取れるものが違ったのだから、そこでの敗戦の意味を感じてほしかった。
そして月曜日からは完璧に切り替える。次の目標はルヴァンカップ準決勝の2試合トータルで川崎に勝つこと。鹿島戦での成功体験を自信に変えて、180分で決勝進出を掴みたい。
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は10月14日に行なわれる29節・川崎戦の予定。お楽しみに!
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