【現地発】メッシとC・ロナウドの記録に並んだケイン。来夏の争奪戦激化は必至だ

カテゴリ:ワールド

山中忍

2017年10月02日

ケインを欲しがるビッグクラブは増えるに違いない。

得意の持ち出しから強烈な一撃を見舞ったハダースフィールド戦などで、その得点能力はもはや証明済み。今後、国内外から触手が伸びることは、まず間違いなさそうだ。 (C) Getty Images

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 開始早々の9分にカウンターから敵陣を独走して決めた先制点は、チャンスを予期する嗅覚の賜物。彼にボールが渡る前に相手DFが対処すべきではあったが、それこそケインの威圧感がミスを誘ったとも言える。
 
 GKとの1対1で、軽く外側にボールを叩くお馴染みの持ち出しからシュート体勢に入り、右足でニアポストに決めたフィニッシュワークは、冷静沈着にして正確無比だった。
 
 23分に決めた自身2ゴール目は、ワンタッチの軽快なビルドアップからベン・デイビスが決めたチーム2点目を凌ぎ、この試合でのベストゴールに挙げられる。
 
 バイタルエリアでボールを持った時には3人のDFに囲まれていたが、素早いターンで背後の1人を剥がすと、残る2名も置き去りにするように中央へと流れ、コースが見えた瞬間に左足を一閃。絶妙なカーブのかかったシュートは、相手GKのセーブが及ばないファーサイド上隅を射抜いた。
 
 試合後のケイン本人は、「いい感じのクロスやスルーパスを送ってくれる仲間がいるから勇気百倍。自分は単にチャンスを締め括っているだけさ」と普段通りに淡々と自身のパフォーマンスを総括している。
 
 指揮官のマウリシオ・ポチェティーノからして、4日前のチャンピオンズ・リーグのAPOEL戦(〇3-0)でハットトリックを決めた時点で、「ゴール前で必殺の特技を見せる世界最高のストライカーの1人」と認めていたケインを欲しがる欧州ビッグクラブは、今後、増え続けるに違いない。
 
 すでに今夏にも国内ではマンチェスター・ユナイテッド、さらに海外からはレアル・マドリーの興味が伝えられたが、トッテナムが3年連続でプレミア優勝争いに敗れることになれば、来夏に浮上する退団の噂の数と熱量は、その比ではなくなるだろう。
 
 ケインが本領を発揮し始めたこともあり、トッテナムは優勝を本命視されるシティとユナイテッドのマンチェスター勢に次ぐプレミア3位に浮上した。しかしそれは同時に、“ワールドクラスのCF”流失を防ぐ戦いが本格的に始まったことも意味している。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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